抄録
臭化ナトリウムの投与により発症したBromodermaの一例を経験した.症例は6歳,男児.症候性てんかんに対してクロナゼパムと臭化ナトリウムの内服治療を受けていた.右頬部に境界明瞭で周囲に紅暈のある円形ないし不整形な局面で膿疱,痂皮を伴う皮疹が出現した.検査所見では血中臭化物濃度が150 mg/dlと上昇.細菌,真菌,非定型抗酸菌培養検査はすべて陰性.病理組織像では表皮の肥厚,偽癌性増殖,真皮内の著明な好中球の浸潤と赤血球の血管外漏出,開大した毛包漏斗部内の膿瘍の形成を認めた.以上より本症例をBromodermaと診断.臭化ナトリウムの内服中止により約2カ月で皮疹は改善した.