日本皮膚科学会雑誌
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112 巻, 4 号
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生涯教育講座
  • 米田 耕造
    原稿種別: 生涯教育講座
    2002 年 112 巻 4 号 p. 349-362
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
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    During the past decade, molecular biological techniques have led to the discovery of the molecular basis of many genetic disorders of the skin. In addition, the sequencing of the genome was completed, and protein-coading regions were identified last year. This paper reviews the relationship between modern molecular biology and dermatology and focuses on single gene disorders, polygenic disorders, modifier genes, mosaicism, genotype-phenotype relationships, single nucleotide polymorphisms, DNA chip techniques, microarray techniques, and gene therapy. Molecular biological techniques will play increasingly important roles in clinical dermatology.
原著
  • 下島 博之, 森嶋 隆文, 森嶋 智津子
    原稿種別: 原著
    2002 年 112 巻 4 号 p. 363-375
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は,1)ガーゼ滲出液中5-S-CD値の測定と滲出液からのスタンプ蛍光法あるいは穿刺吸引蛍光法による爪甲下黒色腫の術前診断法の有用性を検討すること,2)Hutchinson徴候の臨床所見,特にDermoscopy所見や病理所見の特徴を明らかにし,爪部色素性母斑との鑑別が可能か否かを検討すること,3)爪甲下黒色腫早期病変の爪甲変化の臨床的特徴を明らかにすることである.〔対象症例・方法〕爪甲下黒色腫が12例,爪甲色素線条・黒色爪が22例である.5-S-CDによる術前診断は既述の方法に従い,Hutchinson徴候はDermoscopyで詳細な観察を行い,蛍光法(未染標本),HMB-45染色やメラニン染色を用いて画像解析を試みた.〔結果〕1)5-S-CDによる術前診断:ガーゼ滲出液中5-S-CD値は4例全例で検出され,3例は滲出液のスタンプ蛍光法,1例は穿刺吸引蛍光法で確定診断しえた.2)Hutchinson徴候:ALM型進行例4例中4例,早期例6例中3例に明瞭なHutchinson徴候が認められた.主な爪囲色素沈着部は指(趾)尖部である.(1)Dermoscopy所見;parallel ridge patternを基本とし,これにfibrillar patternやirregular lattice like patternが加わり,進行例ではdiffuse multicomponent pigmentationやblack globule/dotがみられた.(2)病理所見;異型メラノサイトがcrista profunda intermediaやcrista profunda limitansともに,あるいはcristaprofunda intermediaにやや著明に,その基底層に主として,一部有棘層内に増生し,これら細胞は5-S-CDによる緑色蛍光を発し,HMB陽性で,MF染色では樹枝状突起が明瞭である.早期病変6例中3例は爪甲先端部の部分的欠損で,この部に小色素斑がみられ,Dermoscopy所見はparallel ridge patternを基本とする.(3)爪部色素性母斑との鑑別;小児の黒色爪の爪囲色素沈着(pseudo-Hutchinson徴候)は遊離縁にみられるbar code like linear pigmentationを特徴とし,SM成人例のHutchinson徴候とは臨床的にも病理組織学的にも異なる.3)早期例の爪甲病変:3例が爪甲色素線条・黒色爪であったが,残りの3例はほぼ正常外観の爪甲の部分的欠損と爪甲下の色素沈着を特徴とした.病理組織学的には爪甲色素線条例ではメラニン産生が盛んな異型メラノサイトが爪母上皮の基底層,しばしば有棘層内に個別性に増生し,上皮細胞や爪にメラニン顆粒を転送している.爪甲の部分的欠損と色素沈着例では爪床上皮にメラニン顆粒に富む異型メラノサイトの増生と小胞巣の形成,一部上皮下への浸潤がみられた.注目すべき所見は,やはり爪母上皮にメラニン産生が乏しい異型メラノサイトの増生がみられたことである.
  • 佐藤 優子, 相澤 浩, 新村 眞人
    原稿種別: 原著
    2002 年 112 巻 4 号 p. 377-383
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
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    痤瘡は精神的ストレスにより増悪することが知られている.ストレス時にはcorticotropin-releasing hormone(CRH)が増加し,視床下部―下垂体―副腎皮質系が亢進する.われわれは痤瘡患者における,主に視床下部―下垂体系の機能を検討するため,思春期後の女性痤瘡患者13例を健常者8例と比較しCRH試験を行った.CRH試験により痤瘡患者の血中cortisol(F)とdehydroepiandrosterone(DHEA)の基礎値,頂値,変動値はいずれも異常を認めなかったが,DHEAの血中濃度曲線下面積であるareaunder the curve(AUC)は低かった.また,痤瘡患者の血中adrenocorticotropic hormone(ACTH)値は頂値と変動値に有意差はなかったが,基礎値とAUCはいずれも健常群に比し,有意ある高値を認めた.また,痤瘡群13例中3例は,CRHに対してACTH値の反応亢進を認めた.しかし,痤瘡患者のdehydroepiandrosterone sulfate(DHEA-S)基礎値とACTH値の基礎値,頂値,変動値,AUCとは,いずれも相関関係を認めなかった.以上より,男性化徴候を伴わない本邦の女性痤瘡患者において,視床下部―下垂体系の軽度の機能異常を認める症例があり,そのことがストレスによる痤瘡病態の悪化と関連があることが示唆された.
  • 山本 隆之, 西村 雅恵, 宮島 進, 岡田 奈津子, 内藤 雅文, 阿部 泰士, 小林 晏
    原稿種別: 原著
    2002 年 112 巻 4 号 p. 385-391
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
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    48歳,女性.1986年頃からRaynaud症状がみられ,1988年に手の浮腫性硬化,開口障害,が出現し強皮症と診断された.以来,両足趾に小潰瘍が反復出現し,逆流性食道炎,食道潰瘍を伴うようになった.1998年に生検にて十二指腸にamyloid A(AA)蛋白の沈着を認め,続発性アミロイドーシスと診断され,翌年には直腸にもアミロイドの沈着を指摘された.同時期に心機能の軽度低下,軽度の肺線維化を認め,同年12月心不全,腎不全に陥り,血液透析導入となった.心機能は回復したが,腸管運動の著明な低下がみられるようになった.2000年2月突然心肺停止に陥り,永眠された.剖検の結果,心はアミロイドの高度沈着と強皮症による小型の線維化巣,壊死巣を多く認め,腎はアミロイドの高度沈着と強皮症による弓状―小葉間動脈の求心性内膜肥厚像を認めた.また食道,空腸から結腸にかけては内輪筋の萎縮,消失,線維化がみられ,アミロイドも高度沈着していた.強皮症に続発性アミロイドーシスを合併することは稀であるが,長年の経過を有する強皮症は続発性アミロイドーシスの合併を考慮に入れる必要があると思われた.
  • 脇坂 ちひろ, 木村 鉄宣
    原稿種別: 原著
    2002 年 112 巻 4 号 p. 393-399
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
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    臭化ナトリウムの投与により発症したBromodermaの一例を経験した.症例は6歳,男児.症候性てんかんに対してクロナゼパムと臭化ナトリウムの内服治療を受けていた.右頬部に境界明瞭で周囲に紅暈のある円形ないし不整形な局面で膿疱,痂皮を伴う皮疹が出現した.検査所見では血中臭化物濃度が150 mg/dlと上昇.細菌,真菌,非定型抗酸菌培養検査はすべて陰性.病理組織像では表皮の肥厚,偽癌性増殖,真皮内の著明な好中球の浸潤と赤血球の血管外漏出,開大した毛包漏斗部内の膿瘍の形成を認めた.以上より本症例をBromodermaと診断.臭化ナトリウムの内服中止により約2カ月で皮疹は改善した.
学会抄録
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