抄録
牛ふんスラリーの適正処理と資源化のための集中型バイオガスプラント(複数酪農家のふん尿を対象)導入には,悪臭や貯留槽の容量不足等の環境問題解決のみならず,運搬や散布の手間削減やエネルギー回収の効果もあるが,酪農家の経済負担問題から普及は進んでいない.本研究では,北海道の酪農が盛んな道東の3地域を対象にアンケート調査し,これまで不明であった牛ふんスラリーの不適正管理の実態を明らかにした.次に,コンジョイント分析により,「貯留槽容量不足の改善」及び「悪臭の改善」,「過剰施肥の緩和」について,酪農家が高いニーズを抱いていること,またそれらのニーズの違いは,飼養頭数の増加,耕種農家の有無等の地域特性によることを示した.すなわち地域特性によって異なる酪農家のニーズに応じた集中型バイオガスプラントの導入策が必要である.