日本皮膚科学会雑誌
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原著
Docetaxel・Paclitaxelのlow dose weekly therapyを施行した血管肉腫の3例
沖山 奈緒子宮崎 安洋渡邊 憲横関 博雄西岡 清
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2003 年 113 巻 12 号 p. 1827-1833

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抄録
血管肉腫は,高齢者の頭部に発症し,高率に肺転移を起こす,極めて予後の悪い疾患であり,その治療法はいまだ確立されていない.今回我々は,腫瘤を呈した血管肉腫の3例に対し,可及的切除術,rIL-2局注・動注などを行うも再燃,肺転移を認めたため,Docetaxel・Paclitaxelのlow dose weekly therapyを施行した.2例においては投与後,頭部腫瘍・肺転移ともに縮小を認めたが,その後再燃し,肺転移による呼吸不全で死亡.1例においては頭部腫瘍・肺転移ともに消失し,現在まで再発を認めていない.今回の3例では拡大切除が不可能であったが,Docetaxel,Paclitaxelを使用して加療したところ,重篤な副作用なく腫瘍を抑制して平均生存期間の延長を認めており,また,この療法は週に1回の外来または1泊入院の投与でよいため,患者のQOL(quality of life)向上につながった.
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© 2003 日本皮膚科学会
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