抄録
近年,BP180 NC16a・ELISA法の導入により高い感度,特異性を有する水疱性類天疱瘡(BP,bullous pemphigoid)の診断および病勢のモニタリングが確立されつつあり,現在ではBP180 NC16a・ELISAはコマーシャルベースで入手可能となっている.BPは,高齢者に好発する自己免疫性表皮下水疱症であり,医療施設や設備が不十分な高齢化の進む過疎化地域においては,より侵襲の少ない検体採取によって的確な診断をつけることが望まれる.そこで,水疱を形成した疾患群の水疱内容液を検体としてBP180NC16a・ELISAを施行し,BPの診断における有用性を検討した.BP患者および他疾患患者群の水疱内容液中の抗BP180 NC16a抗体価を比較したところ,陽性率はそれぞれBP患者89.5%(17/19例中),他疾患(尋常性天疱瘡1例,先天性表皮水疱症2例,全身性エリテマトーデス1例,熱傷14例,虫刺症5例,接触性皮膚炎5例,薬疹3例,圧迫性水疱1例)患者0%(0/32例中)であった.これより,水疱を形成する疾患の水疱内容液を用いて測定したBP180NC16aELISAの感度は89.5%(17/19),特異度は100%(32/32)という結果が得られ,血清を用いて測定された既報告とほぼ同等の精度であることが明らかとなった.また,水疱形成時における血清と水疱内容液中の抗BP180 NC16a抗体価を比較したところ,概ね血清中の抗体価の方が高い結果となったが,水疱/血清内容液のELISA(Index値)比は0.73±0.27(平均±標準偏差)(0.43~1.29)であり,水疱内容液はBPの診断においては,血清に準じた評価をして良いものと考えた.以上より,BPが好発する高齢者の多い過疎化地域において,簡便かつ非侵襲的にBPの診断をつけるために,水疱内容液を検体として用いたBP180 NC16a・ELISAは有用なツールになり得ると考えた.