日本皮膚科学会雑誌
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原著
月経疹の1例
レパヴー アンドレ野木村 真奈美福田 英嗣日野 治子松岡 芳隆
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ジャーナル 認証あり

2003 年 113 巻 2 号 p. 169-175

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抄録

31歳,女性.平成8年より年に2,3回月経時期に一致し腹部に軽度のそう痒を伴う紅色丘疹が出現するようになった.近医数カ所で痤瘡,汗疹などと診断され抗ヒスタミン薬,ステロイド外用薬,抗生物質など投与されたが,症状は一時的には改善するものの発疹は再燃を繰り返した.前医にてAutoimmune progesterone dermatitisを疑われ平成12年9月当科紹介受診し,精査目的に翌年11月入院となった.発疹は体幹前面に融合傾向なく多発する米粒大で,紅色の軽度浸潤のある丘疹であり,月経開始3~5日前に出現し,月経開始とともに消退する.血中ホルモン値は排卵期でE1,E2が若干低下していたが他に異常所見はなかった.プロゲステロン皮内反応を試みたが即時型,遅延型反応ともに陰性であり,月経疹と診断した.発疹以外の全身症状を伴わず,現在のところ経過観察となっている.月経周期に一致し,はっきりした紅色丘疹が体幹前面のみに消長を繰り返す例は,過去の報告例においても非常に稀であり,さらなる病態の解析が必要と考え,報告する.

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© 2003 日本皮膚科学会
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