抄録
当院において遠隔転移が肝に限局する悪性黒色腫患者13名(眼球脈絡膜原発11例,皮膚原発2例)に対し,肝動脈内抗癌剤投与(cisplatin 70 mg/m2)に経カテーテル肝動脈塞栓術を併用し治療した.現在までのところ自験例における肝転移発見からの生命予後は4例の生存例も含め平均18.6カ月,中央値14カ月,最長45カ月であり,うち1例は治療2回施行後complete responseとなり,肝転移発見から22カ月を経た現在もcomplete responseを継続している.本治療の副作用としては発熱,腹部症状(腹痛,嘔気,嘔吐),胃潰瘍,血清中肝酵素及び乳酸脱水素酵素(以降LDHと略す)値上昇を認めたが一時的で,骨髄抑制など生命にかかわる重篤な有害反応は認めなかった.なお肝転移発見時に血清中LDH値の上昇を認めた群では認めない群に比して統計学的有意に予後不良であった(logrank test:p=0.0044).本治療方法は重篤な副作用を伴わず,かつ従来の方法では困難であった悪性黒色腫多発性肝転移の治療として有用であると考える.