日本皮膚科学会雑誌
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原著
増悪時に好中球機能亢進が認められた臀部慢性膿皮症(汎発型)の1例
村山 功子岩渕 和久染谷 明正長岡 功高森 建二
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ジャーナル 認証あり

2004 年 114 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

臀部慢性膿皮症の典型例において,症状増悪時と軽快時における患者の好中球機能(①活性酸素生成能,②貪食能,③遊走能)を,健常人と比較検討した.その結果,①活性酸素生成能は,症状増悪時にザイモサン刺激で3.1倍,phorborl myristate acetate(PMA)刺激で1.9倍,formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine(fMLP)刺激で2.5倍と健常人よりも上昇していたが,軽快時にはそれぞれ1倍,1倍,0.4倍であった.また,②貪食能は,増悪時には健常人の2.2倍と上昇していたが,軽快時には1.1倍となった.しかしながら,③遊走能は症状増悪時,軽快時ともに健常人と同程度であり,症状による変化も認められなかった.また,増悪時の末梢血好中球の接着分子(CD11b,CD62L)発現量,血中サイトカイン(TNF-α,IL-1β)量は,健常人と大きな差が認められなかった.以上のことから臀部慢性膿皮症患者(自験例)においては,症状増悪時に好中球の活性酸素生成能と貪食能は亢進するが,遊走能や接着分子の発現能などには変化がないことが示された.

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© 2004 日本皮膚科学会
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