日本皮膚科学会雑誌
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原著
自傷性皮膚炎の2例
河崎 玲子亀井 恭子加藤 しおり小西 さわ子今山 修平
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ジャーナル 認証あり

2005 年 115 巻 10 号 p. 1487-1492

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抄録

5年と11年の病歴を持つ自傷性皮膚炎の2例を報告する.症例1は61歳女性.5年前から体幹・四肢に径1.5 cmまでのびらん性紅斑が出現して寛解と増悪を繰り返し,皮膚生検にて落葉状天疱瘡の診断を受けていた.病理組織標本の再検討と患者血中抗体測定により水疱症は否定された.症例2は27歳女性.外科手術を契機として8年前に発症した顔面の再発性難治性潰瘍を主訴に3年前に来院した.当院にて加療した3年の間に顔面の潰瘍は治癒したが,その一方で体幹・四肢に潰瘍と線状のびらん性紅斑が群生して寛解と増悪を繰り返した.2例とも皮膚病変は①解剖学的背景に無関係な分布と,②手指の動作方向に長軸を持つ線状の配列を示し,③個疹は大きさと性状が均一であり,④寛解・増悪を繰り返し,⑤経過と皮膚所見が検査値と乖離しており,⑥明らかな精神疾患の合併は認めなかった.

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© 2005 日本皮膚科学会
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