日本皮膚科学会雑誌
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原著
アトピー性皮膚炎の病勢指標としての血清TARC/CCL17値についての臨床的検討
玉置 邦彦佐伯 秀久門野 岳史佐藤 伸一八田 尚人長谷川 稔白崎 文朗島田 由佳森田 礼時西島 千博越後 岳士山田 瑞貴大石 直人中条 園子冨田 育代平野 貴士田中 千洋竹原 和彦尾藤 利憲福永 淳堀川 達弥梅田 二郎森田 博子西野 洋岡田 明子片岡 葉子秋永 良也占部 和敬師井 洋一国場 尚志今福 信一幸田 太中原 剛士深川 修司古江 増隆
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2006 年 116 巻 1 号 p. 27-39

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抄録

血清TARC/CCL17値がアトピー性皮膚炎(AD)の病勢を示す指標として用いられる可能性について,これまでに用いられてきた血清IgE,LDH,末梢血好酸球数と比較して検討した.血清TARC/CCL17値の平均は213±121 pg/mlであり,正常範囲の上限は,450 pg/mlであった.ADその他の皮膚疾患患者血清で健常者の平均値より有意に高値を示したのはAD,蕁麻疹および炎症性角化症であった.特に,ADで高値を示した.血清TARC/CCL17,IgE,LDH,末梢血好酸球数についてADの重症度における各群の平均値の有意差検定を行ったところ,IgE以外はいずれの群においても有意差を認めたが,特に血清TARC/CCL17で顕著であった.また,SCORADの変動はLDH,好酸球数に比べて血清TARC/CCL17の方がより一致していた.これらのことから血清TARC/CCL17値はADの皮膚病変の程度を非常によく短期的に反映する指標であることが示唆された.

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© 2006 日本皮膚科学会
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