日本皮膚科学会雑誌
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116 巻 , 1 号
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皮膚科セミナリウム 第10回 角化症
  • 秋山 真志
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第10回 角化症
    2006 年 116 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2006/01/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    外界の環境と対峙するヒト体表面のほとんどの部分は皮膚で占められている.したがって,皮膚の最も重要な機能は,人体の恒常性維持のため,外界に対するバリアとして働くことである.この皮膚のバリア機能にとって一番重要な部分は,角層である.魚鱗癬,および,魚鱗癬症候群のほとんどが,皮膚の角化,特に,角層のバリア機能に重要な蛋白をコードする遺伝子の異常によることが,近年,次第に明らかにされつつある.角層の構造のなかで,バリア機能にとって重要な要素には,角化細胞質内のケラチン溶解産物,cornified cell envelopeと呼ばれる厚くなった細胞膜,そして,角層細胞間脂肪層が挙げられる.実際に,水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症は,ケラチン1,10の遺伝子変異が病因であり,また,葉状魚鱗癬のおよそ半数の症例と非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の少数の症例は,トランスグルタミナーゼ1遺伝子変異によるcornified cell envelope形成障害が病因である.さらに,我々の研究により,最重症型の魚鱗癬である道化師様魚鱗癬は,表皮細胞の脂質輸送蛋白ABCA12の高度の機能障害による角層細胞間脂肪層の形成不全によって発症することが明らかになった.本稿では,魚鱗癬,および,魚鱗癬症候群の臨床症状,発症のメカニズムについて,最新の知見を含めて,概説した.
  • 山本 明美
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第10回 角化症
    2006 年 116 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2006/01/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    遺伝性掌蹠角化症の病型を臨床症状に基づいて随伴症状が比較的軽微なびまん性の掌蹠角化症,限局性掌蹠角化症,線状掌蹠角化症,点状掌蹠角化症,魚鱗癬や掌蹠外の角化性局面に掌蹠角化症を伴う場合,先天性爪甲厚硬症,角膜,神経症状を伴う掌蹠角化症,歯周炎を伴う掌蹠角化症,白板症,食道病変を伴う掌蹠角化症,難聴を伴う掌蹠角化症,外胚葉形成異常に掌蹠角化症を伴うその他の病型,心筋症を伴う掌蹠角化症,皮膚の脆弱性に掌蹠角化症を伴う病型に分類した.それぞれの病型について,原因や病態について最近の知見を紹介した.
  • 黛 暢恭, 池田 志斈
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第10回 角化症
    2006 年 116 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2006/01/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    Darier病(以下,DD:MIM#124200)とHailey-Hailey病(以下,HHD:MIM#16960)はともに常染色体優性遺伝形式を示す遺伝性疾患である.近年,分子生物学・遺伝学的手法により,両疾患の責任遺伝子が異なる細胞内器官(小胞体・ゴルジ体)の膜上に存在するカルシウムポンプをコードする遺伝子である事,即ち両疾患が同一範疇の疾患であることが明らかとなった.本稿ではそれぞれの皮膚カルシウムポンプ病の臨床症状・両遺伝子同定の過程・両疾患遺伝子の性状・発症機序などについてまとめた.
原著
  • 玉置 邦彦, 佐伯 秀久, 門野 岳史, 佐藤 伸一, 八田 尚人, 長谷川 稔, 白崎 文朗, 島田 由佳, 森田 礼時, 西島 千博, ...
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 1 号 p. 27-39
    発行日: 2006/01/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    血清TARC/CCL17値がアトピー性皮膚炎(AD)の病勢を示す指標として用いられる可能性について,これまでに用いられてきた血清IgE,LDH,末梢血好酸球数と比較して検討した.血清TARC/CCL17値の平均は213±121 pg/mlであり,正常範囲の上限は,450 pg/mlであった.ADその他の皮膚疾患患者血清で健常者の平均値より有意に高値を示したのはAD,蕁麻疹および炎症性角化症であった.特に,ADで高値を示した.血清TARC/CCL17,IgE,LDH,末梢血好酸球数についてADの重症度における各群の平均値の有意差検定を行ったところ,IgE以外はいずれの群においても有意差を認めたが,特に血清TARC/CCL17で顕著であった.また,SCORADの変動はLDH,好酸球数に比べて血清TARC/CCL17の方がより一致していた.これらのことから血清TARC/CCL17値はADの皮膚病変の程度を非常によく短期的に反映する指標であることが示唆された.
  • 慶田 朋子, 川上 理子
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2006/01/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    妊娠中にみられる皮膚病変の傾向を調べるために,過去5年間に皮疹を主訴に聖母病院皮膚科を受診した妊婦614人について,疾患別にRetrospectiveな統計学的調査を行った.結果は湿疹・皮膚炎群が約半数(52%)を占め,各種感染症があわせて22%,痒疹・蕁麻疹群が15%,皮膚腫瘍が7%であった.これらを別の観点で分類すると1)妊娠による生理的な変化が2例(0.3%),2)妊娠に特異的な皮膚病変が57例(9.6%),3)もともとある皮膚疾患の妊娠による変化が41例(6.6%),4)妊娠と無関係な皮膚疾患が妊娠中に出現したものが517例(84.2%)であった.今回の統計の結果,妊婦の皮膚疾患のほとんどが湿疹・皮膚炎群を主として日常診療上しばしばみる皮膚疾患であり,妊娠が関連する皮膚疾患は15%程度であることが確認できた.その治療に関しては妊娠中であることから制限を受けるため,妊婦における湿疹,痒疹などの瘙痒性疾患の治療は,外用剤が中心となる.それで不十分な場合に,妊婦でも可能な内服薬についても考察を加えた.
  • 牧之段 恵里, 小林 信彦, 星野 さち子, 泉 敦子, 横井 祥子, 山本 純照, 浅田 秀夫, 浅井 修, 中谷 公彦, 熊本 牧子, ...
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 2006/01/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    全身性強皮症(SSc)発症約9年後に,myeloperoxidase-antineutrophil cytoplasmic antibody(MPO-ANCA)の出現に伴い,半月体形成性糸球体腎炎,多発単神経炎をそれぞれ合併した2例を報告した.症例は56歳女性および21歳女性.両患者とも,diffuse cutaneous SScであった.ANCA関連血管炎の合併と考え,プレドニゾロン内服に加え,シクロフォスファミド大量静注療法を行い,両症例とも血管炎症状に対して著効した.現在当科で経過観察中のSSc患者のうち,調べ得た21例中,本論文の2例のみMPO-ANCA陽性であった.本邦例を検討したところ,MPO-ANCA陽性となりやすいSScの臨床的特徴は,SSc発症後の罹病期間が長い症例(平均10年,0.5~30年)および抗topoisomerase I抗体陽性例(71%)であった.このような特徴を持つSSc症例の経過中に,正常血圧の腎機能低下,血痰,呼吸困難,紫斑などの症状がみられた場合には,ANCAを測定すべきであると考える.SSc患者にANCA関連血管炎が合併することは稀である.しかし,急速進行性糸球体腎炎や肺胞出血等の重篤な症状をきたすため,臨床上極めて重要な病態である.迅速な診断と早期からの強力な免疫抑制療法を要することから,強皮症診療上,常に留意すべき症候といえる.
  • 菅原 京子, 小寺 雅也, 臼田 俊和, 東谷 薫, 岩田 洋平, 市川 一夫
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 1 号 p. 61-70
    発行日: 2006/01/20
    公開日: 2014/12/10
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    トキソプラズマ感染症は,免疫抑制状態にある膠原病患者における日和見感染症の一つとして知られており,しばしば髄膜炎や網脈絡膜炎などの症状を呈する.筆者らはトキソプラズマ感染症を併発した膠原病の2例を経験した.症例1は49歳,全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:以下SLEと略)・強皮症(Systemic Sclerosis:以下SScと略)のoverlap症候群の男性で,あとから筋症状が出現し,多発筋炎/皮膚筋炎(Polymyositis/Dermatomyositis:以下PM/DMと略)合併との鑑別診断に苦慮したが,トキソプラズマ抗体価の上昇が認められたこと,抗原虫薬投与により筋症状が消失したことから,トキソプラズマ症と診断できた.症例2は56歳の男性DMの患者で,治療中に眼トキソプラズマ症を発症した.ところでPM/DMの患者においては,トキソプラズマ抗体価が他の膠原病患者より有意に高率であると,欧米を中心に報告されている.そこで,当施設190例の膠原病患者のトキソプラズマ抗体価を測定して検討を行ったが,SLE,Sjögren症候群(Sjögren’s syndrome:以下SjSと略),SSc,PM/DMで有意な差は認められなかった.
  • 菅原 京子, 小寺 雅也, 臼田 俊和, 東谷 薫, 岩田 洋平, 佐藤 元美, 桒原 恭子
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 1 号 p. 71-78
    発行日: 2006/01/20
    公開日: 2014/12/10
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    70歳女性.2002年7月頃(初診の4カ月前)より全身倦怠感・顔面・四肢の浮腫が出現した.さらに,顔面・四肢の浮腫性皮膚硬化が増強して全身の色素沈着,労作時呼吸困難も認められるようになった.11月7日当科初診時には著明な高血圧が認められ,強皮症腎クリーゼを伴った全身性強皮症(systemic sclerosis;SSc)と診断した.ACE阻害薬を中心に厳格な降圧療法を施行したが,腎機能がさらに悪化して,初診から3カ月後には透析を開始した.間質性肺炎の併発も認められ,加療により小康状態が得られたものの,その後再び全身倦怠感・咳嗽が増悪するため心不全,肺炎が疑われて入院した.心不全・肺炎は治療により改善傾向にあったが,第16病日に急激な四肢の循環不全・意識障害を生じた.多臓器に血栓が認められ,lupus anticoagulant(LA)陽性であることから,劇症型抗リン脂質抗体症候群(catastrophic antiphospholipid syndrome;CAPS)と診断して抗凝固療法と血漿交換を行ったが,第27病日に永眠された.剖検所見では,左心室内腔・総腸骨動脈・左腎動脈などに多発血栓が認められた.
学会抄録
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