日本皮膚科学会雑誌
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原著
劇症型抗リン脂質抗体症候群を合併した全身性強皮症の1例
菅原 京子小寺 雅也臼田 俊和東谷 薫岩田 洋平佐藤 元美桒原 恭子
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ジャーナル 認証あり

2006 年 116 巻 1 号 p. 71-78

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抄録

70歳女性.2002年7月頃(初診の4カ月前)より全身倦怠感・顔面・四肢の浮腫が出現した.さらに,顔面・四肢の浮腫性皮膚硬化が増強して全身の色素沈着,労作時呼吸困難も認められるようになった.11月7日当科初診時には著明な高血圧が認められ,強皮症腎クリーゼを伴った全身性強皮症(systemic sclerosis;SSc)と診断した.ACE阻害薬を中心に厳格な降圧療法を施行したが,腎機能がさらに悪化して,初診から3カ月後には透析を開始した.間質性肺炎の併発も認められ,加療により小康状態が得られたものの,その後再び全身倦怠感・咳嗽が増悪するため心不全,肺炎が疑われて入院した.心不全・肺炎は治療により改善傾向にあったが,第16病日に急激な四肢の循環不全・意識障害を生じた.多臓器に血栓が認められ,lupus anticoagulant(LA)陽性であることから,劇症型抗リン脂質抗体症候群(catastrophic antiphospholipid syndrome;CAPS)と診断して抗凝固療法と血漿交換を行ったが,第27病日に永眠された.剖検所見では,左心室内腔・総腸骨動脈・左腎動脈などに多発血栓が認められた.

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© 2006 日本皮膚科学会
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