2006 年 116 巻 10 号 p. 1441-1448
乳房外Paget病は外陰部,腋窩,肛門周囲に好発する皮膚原発の悪性腫瘍で,組織学的にPaget細胞とよばれる胞体の明るい大型の異型細胞が主に表皮内で増殖することを特徴としている.紅斑や脱色素斑として長期間in situのまま表皮内拡大する時期があり,やがて真皮内・皮下組織に浸潤し,“乳房外Paget癌”となる.In situの時期に治療すれば完治するが,invasiveな時期に進行したものはしばしばリンパ節転移,遠隔転移を生じ,難治となる.多くの例が高齢者であるため低侵襲の診断・治療が望ましいが,最近のセンチネルリンパ節生検(sentinel node biopsy)の技術が非常に有用である.