日本皮膚科学会雑誌
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原著
585 nmパルスダイレーザーの尋常性乾癬治療への有効性
上尾 礼子小林 桂子森田 明理
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2006 年 116 巻 4 号 p. 449-454

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抄録

尋常性乾癬に対する585 nmパルスダイレーザー治療を行った患者16名での治療効果とその安全性および有効性を検討した.尋常性乾癬は外用療法に抵抗性の場合,PUVA療法やナローバンドUVB療法などの光線療法が第2選択となるが,紫外線発癌の問題から乾癬皮疹部にのみ照射を行うターゲティング療法が考慮されるようになった.近年,海外において尋常性乾癬に対する有効性の報告が散見されている585 nmパルスダイレーザーもターゲティング療法の一環として期待できる治療法である.外用療法や光線療法に抵抗性を示す難治性尋常性乾癬症例に対してパルスダイレーザーによる治療を施行した結果,全般改善度において,患者16名中,改善以上の有効率は44%であり,3年間治療効果の維持できた症例も認められた.照射部位による効果では四肢よりも体幹,特に背部の乾癬病巣に対して有効であった.なおレーザー照射により症状が悪化した症例は認められなかった.今回の検討から585 nmパルスダイレーザーは難治性の尋常性乾癬に対して有効であり,今後選択すべき治療法の一つとして推奨できるものと考えられた.

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© 2006 日本皮膚科学会
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