日本皮膚科学会雑誌
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116 巻, 4 号
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皮膚科セミナリウム 第13回 膠原病(2)
  • 尹 浩信
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第13回 膠原病(2)
    2006 年 116 巻 4 号 p. 413-419
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    汎発性強皮症は均一な疾患ではなく,多様な臨床像を呈するため,診療にあたって戸惑うことも多い.その診断,評価には各種診断基準,病型分類,重症度や予後と相関する特異抗核抗体が用いられ,また内臓病変の精査の後,個々の患者の重症度・予後を判定し,治療方針を決定することが可能となる.本稿では汎発性強皮症の各種診断基準,病型分類,内臓病変,特異抗核抗体,治療方針の立て方について解説した.また限局性強皮症の病型分類,検査,治療方針についても言及した.
  • 相馬 良直
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第13回 膠原病(2)
    2006 年 116 巻 4 号 p. 421-428
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    抗U1-RNP抗体が強陽性で,Raynaud現象と手指の腫脹ないし硬化がある症例をみたら,MCTDを疑う.診断には厚生労働省の診断の手引きが有用である.肺高血圧症の合併の有無が予後を左右する.好酸球性筋膜炎は壮年男性に多く,左右対称性の四肢の腫脹と硬化を特徴とする.Raynaud現象と手指硬化がなく抗核抗体が陰性であることが,全身性強皮症との鑑別点である.限局性強皮症の合併が多い.早期のステロイド内服が有効である.
  • 永井 弥生
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第13回 膠原病(2)
    2006 年 116 巻 4 号 p. 429-436
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    成人Still病は不明熱の原因疾患として重要である.近年,本症では高サイトカイン血症を呈することが報告され,これが本症の病態に関与していると考えられている.発熱,皮疹,関節症状を3主徴とし,白血球増多,肝機能障害,CRP高値,フェリチン著増などの異常検査値を呈するが,特異的所見に乏しいためにしばしば診断に苦慮する.定型的皮疹は重要であるが,実際は様々な非定型皮疹がみられる.予後は一般に良好だが,ときに重症化し,また慢性関節炎による機能障害を起こしうる.これまでの多数の臨床報告より,現在では基本的治療方針は確立されたといえる.
原著
  • 乃村 俊史, 小玉 和郎, 西村 真智子, 安倍 将隆, 小野塚 貴, 川嶋 利瑞, 清水 宏
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 4 号 p. 437-441
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    乾癬性関節炎の発症には,TNF-αが重要な役割を担っており,欧米ではinfliximabなどのTNF-αに対する生物製剤が次々に使用されるようになっている.今回我々は,乾癬性関節炎に対してinfliximabを使用し,極めて高い効果が得られたため,報告する.39歳男性.約10年前に尋常性乾癬を発症し,約3年前から多発関節痛を自覚していた.他医でcyclosporin内服を行ったが改善せず,通院を自己中断したところ増悪し,当科へ入院した.入院時,ほぼ全身の皮疹及び強い多発関節痛を認め,可動域制限も高度.Etodolac及びmethotrexateの内服開始4週後にACR20(アメリカリウマチ学会指標で20%改善)が得られたが,患者のQOLは依然低く,炎症反応も改善が認められなかった.将来的に関節破壊の進行が必発と考えられたため,北海道大学医学部倫理委員会の承認の下,infliximab 3 mg/kgを投与したところ,初回投与翌朝から関節痛の著明な軽減を自覚し,朝のこわばりも消失した.Infliximab 3回投与後には,炎症所見も正常化し,ACR70が得られ,また皮疹も著明に改善した.欧米での報告と同様に,本症例に対してもinfliximabが著効したことから,今後本邦においても早急な保険適応が望まれる薬剤であると考えられた.
  • 海老原 香子, 斎藤 万寿吉, 坪井 良治
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 4 号 p. 443-448
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    最近human immunodeficiency virus(HIV)感染者の増加に伴い,HIV感染に梅毒を合併する症例も増えてきている.今回,1992年1月から2003年10月までに東京医科大学病院皮膚科及び臨床検査医学科を受診した梅毒血清反応陽性者341名のうちHIV・梅毒混合感染者77名(22%)について臨床的に検討した.全例が男性であり,そのうち33名が同性愛者であった.HIV・梅毒混合感染者の顕症梅毒ではrapid plasma reagin(RPR),Treponema pallidum hemagglutination test(TPHA)値が高値となる傾向がみられた.治療は,アモキシシリン(AMPC)を中心にペニシリン系抗生物質が通常用量投与されていた.投与期間は様々であったが,治療された53名中23名(43%)は4週間以下の投与であり,全例梅毒は略治した.
  • 上尾 礼子, 小林 桂子, 森田 明理
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 4 号 p. 449-454
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
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    尋常性乾癬に対する585 nmパルスダイレーザー治療を行った患者16名での治療効果とその安全性および有効性を検討した.尋常性乾癬は外用療法に抵抗性の場合,PUVA療法やナローバンドUVB療法などの光線療法が第2選択となるが,紫外線発癌の問題から乾癬皮疹部にのみ照射を行うターゲティング療法が考慮されるようになった.近年,海外において尋常性乾癬に対する有効性の報告が散見されている585 nmパルスダイレーザーもターゲティング療法の一環として期待できる治療法である.外用療法や光線療法に抵抗性を示す難治性尋常性乾癬症例に対してパルスダイレーザーによる治療を施行した結果,全般改善度において,患者16名中,改善以上の有効率は44%であり,3年間治療効果の維持できた症例も認められた.照射部位による効果では四肢よりも体幹,特に背部の乾癬病巣に対して有効であった.なおレーザー照射により症状が悪化した症例は認められなかった.今回の検討から585 nmパルスダイレーザーは難治性の尋常性乾癬に対して有効であり,今後選択すべき治療法の一つとして推奨できるものと考えられた.
  • 林 周次郎, 大塚 勤, 橋壁 道雄, 山﨑 雙次, 長谷 衣佐乃, 武田 昭, 福田 健
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 4 号 p. 455-460
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    1974年発熱,蛋白尿あり.全身性エリテマトーデス(以下SLE)を発症し,その頃より臀部に数cm大の赤褐色皮疹が出現,以後徐々に拡大.SLEに対し近医でプレドニゾロン内服の加療を受けていたが,ループス腎炎の増悪のため2003年6月11日当院内科入院.入院時右臀部に約20×17 cm大の境界明瞭な褐色の隆起性局面を認めた.組織学的に真皮内にsclerotic cellを認め,真菌培養所見よりクロモミコーシスと診断した.フルコナゾール(以下FLCZ)の全身投与,温熱療法を含む局所療法で治療し軽快した.一方,8月頃より左手背に壊死を伴う隆起性皮疹が出現.皮膚生検所見で脂肪層から真皮全層にかけてクリプトコックスの菌体と思われる小型の細胞が泡沫状に無数に存在した.真菌培養でクリプトコックスが検出され,皮膚クリプトコックス症と診断.FLCZの全身投与により真菌培養は陰性化した.皮膚潰瘍に対しトラフェルミン外用にて加療中,2004年2月4日にループス腎炎の悪化による腎不全のため永眠した.2種類の深在性真菌症を同時に罹患した稀な症例で,誘因としてCD4,IgGなどの低下があり,免疫不全が推定された.
  • 松下 真理子, 山本 俊幸, 横関 博雄
    原稿種別: 原著
    2006 年 116 巻 4 号 p. 463-466
    発行日: 2006/03/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    61歳男性.1977年より2型糖尿病と診断され,治療中.2003年,項部の違和感を主訴に受診.皮膚生検で肥厚した真皮深層に至るまでの膠原線維の増生,膨化を認めるため糖尿病性浮腫性硬化症と診断した.また,同時に手指の皮膚硬化,関節の伸展障害を認めたため汎発性強皮症も疑い皮膚生検を施行した.病理組織像で真皮中~下層の膠原線維の増生,裂隙を認めたが,膠原線維の膨化,肥厚はみられなかった.以上より自験例を糖尿病性浮腫性硬化症とdiabetic digital sclerosisの合併と診断した.両者の合併は報告が少なく,若干の考察を加え報告する.手指の皮膚硬化を認めた場合は糖尿病も鑑別に考えることが重要と思われた.
学会抄録
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