抄録
67歳,女性.糖尿病,腎不全があり2年前より血液透析中.長女が1年前に結核性リンパ節炎に罹患している.半年前,両側鼠径の皮下腫瘤に気づき,その後腫瘤の数が増加し排膿あり.膿汁の直接検鏡で抗酸菌を検出,PCRで結核菌群と同定した.組織所見は乾酪壊死と周囲のリンパ球浸潤のみで,結核結節はみられなかった.皮膚腺病と診断し,抗結核薬の3剤(RFP,INH,EB)併用療法を開始したところ,索状の皮下硬結となり,結核菌は陰性化した.治療開始後患部より3回皮膚生検を行い病理組織所見を検討した.その結果,治療により徐々にラングハンス型巨細胞と結核結節が増加し,治療開始4カ月後には典型的な皮膚腺病の組織像を呈した.高齢者の皮膚腺病は増加しており,免疫抑制状態におかれている患者の膿瘍は一般細菌培養だけでなく抗酸菌の検索も必要であると考えられた.