抄録
近年,術後創処置に関する過去の常識が徐々に変わりつつあり,皮膚科領域でも外来小手術後の早期入浴は創傷治癒に良い影響を与えるとする報告がみられるようになった.そこで,2007年2月から8月までの新潟県立がんセンター皮膚科における外来手術患者275人を対象に,術後の早期入浴状況について事後調査を行い,手術部位感染との関連について検討した.術後翌日に入浴し創部を洗浄した群は,入浴しなかった群と比較して有意に感染率が低かった.また,患者の性別,年齢,手術部位,創の長さ,消毒の有無,手術時期については手術部位感染への有意な影響は認められなかった.術後早期の入浴,洗浄は患者のQOL向上のみならず,良好な創傷治癒のためにも必要な処置であることが示された.