日本皮膚科学会雑誌
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118 巻, 10 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第41回 痒み
原著
  • 高橋 明仁, 三井田 博, 土屋 和夫, 竹之内 辰也
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 10 号 p. 1947-1952
    発行日: 2008/09/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    近年,術後創処置に関する過去の常識が徐々に変わりつつあり,皮膚科領域でも外来小手術後の早期入浴は創傷治癒に良い影響を与えるとする報告がみられるようになった.そこで,2007年2月から8月までの新潟県立がんセンター皮膚科における外来手術患者275人を対象に,術後の早期入浴状況について事後調査を行い,手術部位感染との関連について検討した.術後翌日に入浴し創部を洗浄した群は,入浴しなかった群と比較して有意に感染率が低かった.また,患者の性別,年齢,手術部位,創の長さ,消毒の有無,手術時期については手術部位感染への有意な影響は認められなかった.術後早期の入浴,洗浄は患者のQOL向上のみならず,良好な創傷治癒のためにも必要な処置であることが示された.
  • 福永 有希, 蒲原 毅, 池澤 善郎
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 10 号 p. 1953-1959
    発行日: 2008/09/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    関節リウマチ類似の乾癬性関節炎を伴い,高度の滑膜炎が認められ,抗環状シトルリン化ペプチド抗体(以下:抗CCP抗体)が陽性であった汎発性膿疱性乾癬の1例を経験した.近年,抗CCP抗体は関節リウマチに特異的とされ,関節リウマチの早期発見・治療の目安として注目されている.乾癬性関節炎は進行すると不可逆的な関節破壊を伴う重篤な関節症状を引き起こす可能性があり,最近では関節リウマチに準じた治療が推奨されている.治療の指標として抗CCP抗体の有用性について検討した.乾癬性関節炎における抗CCP抗体陽性率は正常コントロールに比べて高く,重症例で高値を示すことから,重症進行例の予測因子になりうると考えられた.
  • 袖本 衣代, 長谷川 稔, 石垣 光, 平野 貴士, 松下 貴士, 小村 一浩, 中條 園子, 白崎 文朗, 桑名 正隆, 藤本 学, 佐藤 ...
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 10 号 p. 1961-1966
    発行日: 2008/09/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    症例1,66歳女性.1カ月前に手足に皮膚硬化が出現し,その後,急速に体幹にも皮膚硬化が拡大した.症例2,73歳女性.2カ月前から両手より皮膚硬化が出現し,急速に四肢に拡大した.いずれも通常検索可能な強皮症の疾患標識抗体が陰性であり,免疫沈降法を施行したところ抗RNA polymerase I/III抗体が検出された.2例ともに心伝導障害,間質性肺炎が認められ,皮膚硬化は最大30 mg/日のプレドニゾロン内服で著明に改善した.しかしながら,症例2は間質性肺炎が進行し,シクロフォスファミドパルス療法を併用したにも関わらず,呼吸不全で死亡した.抗topoisomerase I抗体が陰性で,皮膚硬化の進行が急速な症例では,抗RNA polymerase I/III抗体の存在を念頭において,注意深く経過をみる必要があるものと思われた.
  • 西岡 和恵, 高旗 博昭, 冨永 和行, 佐々木 和実
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 10 号 p. 1967-1976
    発行日: 2008/09/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    塩化ビニル手袋によるアレルギー性接触皮膚炎の4例を経験し,手袋の成分別パッチテストにより原因となった成分を明らかにすることができたので報告する.症例は55歳,農業,54歳,農業兼清掃業,57歳,給食業務,52歳,ゴルフ場勤務(後に清掃業)の女性4例で,いずれも職業性に発症していた.皮疹は手部から前腕の湿疹性病変で,うち3例は接触皮膚炎症候群となっていた.4例とも仕事で使用していた塩化ビニル手袋にパッチテスト陽性であり,1例で行った本人使用手袋抽出成分のパッチテストでも陽性を示した.塩化ビニル手袋の成分別パッチテストでは,2例が可塑剤のアジピン酸ポリエステルに陽性,4例が安定剤であるDi-n-octyltin-bis-(2-ethylhexyl) maleateに陽性であった.なお,4例ともMono (2-ethylhexyl) maleateに強陽性を示し,Di-n-octyltin-oxideには陰性であったことから,Di-n-octyltin-bis-(2-ethylhexyl) maleateの2-Ethylhexylmaleate部が抗原決定基と考えられた.
  • 込山 悦子, 池田 志斈
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 10 号 p. 1977-1979
    発行日: 2008/09/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    天疱瘡の予後を明らかにする目的で,順天堂大学医学部皮膚科外来に1981年から2001年の間に少なくとも1年以上治療あるいは経過観察を行った天疱瘡患者69例につき,2007年5月時点で調査を行った.その結果,26例(37.7%)が一切治療無しで経過観察されており,また1年以上症状が見られない,いわゆる「治癒」の状態にあることが明らかとなった.またこれら26例のうち,1例においてのみ,治療中止後5年後に頭部のびらんが生じた.天疱瘡では,致死率は非常に低くなっており,多くの症例が「寛解」または「治癒」の状態にあることが明らかになった.今後さらに「治癒」症例の解析を行う予定である.
学会抄録
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