日本皮膚科学会雑誌
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原著
悪性黒色腫における超音波パワードプラ法の血流信号と腫瘍血管の免疫組織学的所見の関連についての検討
江田 二葉清原 祥夫鈴木 正土田 哲也
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2008 年 118 巻 2 号 p. 191-203

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抄録

超音波ドプラ法は血流信号の検出感度が高く悪性黒色腫の診断には特に有用である.一方,種々の悪性腫瘍において腫瘍血管の増殖やその血管平滑筋細胞の異常が報告されている.そこで悪性黒色腫の原発巣,リンパ節において超音波ドプラ法による所見と腫瘍血管の密度や抗αSMA抗体,抗calponin抗体を用いた血管平滑筋細胞の染色性の異常についての関連を検討した.悪性黒色腫原発巣では,腫瘍内部,腫瘍周辺部において超音波ドプラ法で高率かつ豊富な血流信号を認めた.同部では径25 μm以下の血管径群の密度が高い一方で抗αSMA抗体,抗calponin抗体での血管平滑筋の染色性は著明に減弱し,超音波ドプラ法での所見は腫瘍内部,周辺部の微小な腫瘍血管密度と血管平滑筋細胞の変化を反映している可能性が示唆された.リンパ節転移巣においても同様な血流信号を認めたが,血管平滑筋の染色性や腫瘍血管密度については非転移巣との差は見られなかった.

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© 2008 日本皮膚科学会
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