日本皮膚科学会雑誌
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118 巻, 2 号
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皮膚科セミナリウム 第34回 毛と脱毛症
  • 坪井 良治
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第34回 毛と脱毛症
    2008 年 118 巻 2 号 p. 163-170
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    男性型脱毛症の概念,分類,病態,診断,治療について概説した.特に,2005年末に発売された保険適用外の男性型脱毛症の内服治療薬フィナステリド(プロペシア®)について,その効果,副作用,併用療法などについて詳しく記述し,あわせて日本の男性型脱毛症の治療の現状について報告した.皮膚科医は男性型脱毛症の診断と治療に関して正確な知識を持ち,適切に治療するように心掛けたい.
  • 渡辺 力夫
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第34回 毛と脱毛症
    2008 年 118 巻 2 号 p. 171-178
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    円形脱毛症は,全身のどの部位にも突然に脱毛を生じうる疾患である.病因として,遺伝的素因に基づく自己免疫異常説が有力である.進行している脱毛巣では,本症に特徴的な病的毛(感嘆符毛,黒点など)を認める.孤立性の脱毛斑が数カ所程度であれば,1年以内に自然治癒することが多い.広範囲脱毛例の慢性期には,おもに局所免疫療法を実施する.治療抵抗例や広範囲重症例でも毛包の永久的破壊はないために,回復する可能性は常にある.励ましながら諦めずに接する態度が重要となる.
  • 勝岡 憲生
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第34回 毛と脱毛症
    2008 年 118 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    毛髪は爪と同様に全身状態を反映して色調,質および形状の変化を生じるが,特に脱毛が問題となる.脱毛を生じる全身性疾患は数多いが,疾患特有の脱毛形態は少なく,大部分はいわゆるびまん性脱毛である.したがって,病態の把握には現病歴を詳細に聴取し,脱毛形態のみならず皮膚の炎症・瘢痕の有無をよく観察しつつ全身性疾患との関連を検討していく必要がある.
原著
  • 横田 雅史, 福本 沙緒里, 亀山 隆, 横田 香里
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    39歳男性.2004年10月,発熱,咽頭痛,多発関節痛,左上肢と左下眼瞼の有痛性隆起性紅斑が出現した.11月18日,中枢神経症状が出現,magnetic resonance imaging,髄液所見などから脳幹脳炎と診断された.生検組織で血管炎を伴わない真皮層の好中球の浸潤を認めた.human leukocyte antigen-Cw1が陽性,B51,B54は陰性.眼病変は認めなかった.ステロイドパルス療法を行い,速やかに皮疹,神経症状は改善した.以上より神経Sweet病と診断した.その後脳炎の再発はない.
  • 江田 二葉, 清原 祥夫, 鈴木 正, 土田 哲也
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 2 号 p. 191-203
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    超音波ドプラ法は血流信号の検出感度が高く悪性黒色腫の診断には特に有用である.一方,種々の悪性腫瘍において腫瘍血管の増殖やその血管平滑筋細胞の異常が報告されている.そこで悪性黒色腫の原発巣,リンパ節において超音波ドプラ法による所見と腫瘍血管の密度や抗αSMA抗体,抗calponin抗体を用いた血管平滑筋細胞の染色性の異常についての関連を検討した.悪性黒色腫原発巣では,腫瘍内部,腫瘍周辺部において超音波ドプラ法で高率かつ豊富な血流信号を認めた.同部では径25 μm以下の血管径群の密度が高い一方で抗αSMA抗体,抗calponin抗体での血管平滑筋の染色性は著明に減弱し,超音波ドプラ法での所見は腫瘍内部,周辺部の微小な腫瘍血管密度と血管平滑筋細胞の変化を反映している可能性が示唆された.リンパ節転移巣においても同様な血流信号を認めたが,血管平滑筋の染色性や腫瘍血管密度については非転移巣との差は見られなかった.
  • 佐藤 惠美, 伊藤 康裕, 伊部 昌樹, 山本 明美, 飯塚 一, 大石 泰史, 和田 隆, 鈴木 宏明
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 2 号 p. 205-211
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    63歳,男性.1988年に右上背部に結節が出現し,desmoid tumorの診断で近医にて切除,その後3年目に再発し当科を受診した.病理組織学的に平滑筋肉腫の典型像に加えbizzareな巨細胞が多数浸潤し,悪性線維性組織球腫様構造が目立つことから多形型平滑筋肉腫(pleomorphic leiomyosarcoma)と診断した.拡大切除,化学療法,放射線療法を施行したが,2002年に左肘に皮膚転移が出現し,さらに拡大切除を施行した.転移巣では上記の組織像に加えosteoclast-like giant cellの浸潤も認められた.多形型平滑筋肉腫は通常型よりも予後不良とされるが,自験例は長期生存例である.また,2005年に背部の術後瘢痕部から二次性腫瘍が出現し,粘液型脂肪肉腫と診断された.
  • 宮倉 崇, 大越 加奈恵, 水上 潤哉, 室 繭子, 山本 真実, 荒井 佳恵, 永井 彩子, 入澤 亮吉, 山崎 正視, 坪井 良治
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 2 号 p. 213-219
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    2005年末のフィナステリド(プロペシア®)の発売以来,東京医科大学病院皮膚科では2006年11月までに449名の患者が内服治療を受けている.初診時に男性型脱毛症の病型分類と患者の体毛の濃さを診察し,あわせて家族歴,環境因子,現在までの治療,内服薬への期待などについてアンケート調査を行った.また,6カ月以上内服した症例については,使用前の臨床写真と比較して有効性を判定した.これらの調査の結果,受診患者のNorwood-Hamilton分類は軽症のII型が43%,III型が17%と両者で約半数を占め,重症のVI型,VII型は10%以下であった.有効性の判定では,「やや改善」以上は内服半年後で66%であった.髭,胸毛,四肢など体毛同士の比較では,その他の体毛と比べて髭,下肢が濃い傾向が認められた.家族歴では患者の父親に男性型脱毛症があるのが68%で,祖父は44%であった.また,内服脱落例は全体の17%であり,受診時年齢,家族歴,飲酒の有無が脱落症例と関連が認められた.内服経過中に重大な副作用を生じた症例はなく,服用中止は1例であった.
  • 岡本 崇, 宮原 藍子, 神﨑 美玲, 出口 順啓, 三井 広, 原田 和俊, 椙山 秀昭, 長田 厚, 川村 龍吉, 柴垣 直孝, 寺本 ...
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 2 号 p. 221-227
    発行日: 2008/02/20
    公開日: 2014/12/03
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    イトラコナゾールパルス療法後の薬疹を8例経験した.8例中6例は多形紅斑型,2例は播種状紅斑丘疹型であり,すべての症例でパルス療法1クール目終了前後に皮疹が出現した.うち1例は内服テスト陽性,また1例はリンパ球刺激試験陽性であった.経口抗真菌薬イトラコナゾールは1993年に発売以来,パルス療法が承認される2002年までは本邦における薬疹の報告は7例のみであった.しかしパルス療法承認後,現在までに本邦における薬疹の報告がすでに11例あり,我々はさらに8例の薬疹を経験した.イトラコナゾールパルス療法は爪白癬に対し高い奏効率を持ち,今後も処方する機会が多くなると考えられるため,薬疹の発生には注意が必要であると考えられた.
学会抄録
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