2008 年 118 巻 5 号 p. 919-923
旭川医大皮膚科における鼠径,腋窩,頸部領域の予防的,根治的リンパ節郭清およびsentinel node biopsyを施行した98例を検討した.(1)臨床的にリンパ節転移を認めない症例を対象に,予防的郭清を施行した26例およびSN biopsyを施行した58例,合計84例について,転移陽性15例と陰性69例を比較した.5年生存率は陰性例95.5%,陽性例71.3%と有意差を認め,リンパ節転移の有無が予後因子になることが再確認された.(2)また予防的郭清およびSN biopsy転移陽性例15例と根治的郭清14例を検討し,5年生存率は前者が73.3%,後者が23.4%で有意差を認めた.現在までSN biopsyの施行が予後を改善するという報告はないが,SN biopsyで微小転移を早期に発見し,リンパ節郭清を行うことは生命予後を改善する上で重要と考えた.