日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
原著
各種皮膚疾患に対する308 nmエキシマランプによるターゲット型光線療法
横川 真紀高田 智也永野 弓枝池田 光徳佐野 栄紀
著者情報
ジャーナル 認証あり

2009 年 119 巻 11 号 p. 2173-2180

詳細
抄録

エキシマランプはキセノンクロライド光源を用いたUVB照射装置で,308±2 nmの単波長を有する.我々は各種皮膚疾患に対し,エキシマランプによるターゲット型光線療法を行い,その効果を検討した.尋常性乾癬の紅斑局面に対しては数回の治療で7例中7例(100%)が軽快傾向を示し,7例中3例(42.9%)で治療部位の紅斑は消退した.しかし,乾癬の爪病変3例には6カ月間の継続治療にもかかわらず効果は得られなかった.尋常性白斑は11例中8例(72.7%)において種々の程度に色素再生がみられた.尋常性乾癬,尋常性白斑症例の中には,NB-UVB療法で効果が乏しかったがエキシマランプに反応した症例もあり,これら疾患に対する本療法の優位性を確認した.興味深いことに,強皮症の1例で皮膚硬化が軽減し,頸骨前粘液水腫の1例では著明に隆起性病変が扁平化した.これは,元来光線療法の適応が低いと考えられていた真皮を主座とする疾患においても本療法が有用である可能性を示唆している.有害事象としては,照射部位の紅斑,水疱形成,色素沈着が高頻度にみられた.有害事象のために尋常性白斑11例中2例(18.2%)で治療を中止した.病変部位に限定して照射するターゲット型療法は,少数の皮疹,照射範囲が狭い病変,あるいは他の治療に抵抗性で残存している病変などへの適応が高いと考えた.

著者関連情報
© 2009 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top