2009 年 119 巻 6 号 p. 1059-1064
偽リンパ腫は真性リンパ腫に対する用語であり,組織学的にリンパ球が密に浸潤しリンパ腫様であるが,臨床経過としては良性のものを呼ぶ.皮膚は真性リンパ腫と同様に偽リンパ腫が多い臓器である.皮膚偽リンパ腫の多くは反応性である.増殖するリンパ球の種類により,B細胞性偽リンパ腫とT細胞性偽リンパ腫がある.前者の典型は皮膚リンパ球腫(皮膚良性リンパ腺腫症)であり,indolentの臨床経過を辿る皮膚原発B細胞リンパ腫との鑑別が重要である.後者の代表疾患は歴史的に皮膚リンパ球浸潤症であるが,むしろ薬疹などによる偽リンパ腫を第一に考慮する必要がある.