日本皮膚科学会雑誌
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原著
骨髄異形成症候群に合併したExophiala jeanselmeiによるchromomycosisの1例:症例報告及び過去10年間における菌種別特徴
石田 正青田 典子福田 知雄
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2009 年 119 巻 6 号 p. 1069-1077

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抄録
71歳女性,骨髄異形成症候群(MDS)の既往があり,最近までプレドニゾロンを内服していた.1年以上前より右下腿伸側に紅褐色皮疹が出現,近医皮膚科にてステロイド外用で経過観察されるも軽快せず,当科受診した.皮膚生検により真皮深層に褐色の真菌要素を確認,生検組織の培養でExophiala(E.)jeanselmeiを検出し,chromomycosisと診断した.イトラコナゾールの内服を開始し,約3カ月の経過で治癒した.黒色真菌感染症の病名や病型分類に関しては様々な意見があるが,近年は黒色真菌感染症を包括する病名としてchromomycosisが使用されることが多い.本症は臨床症状や起因菌の寄生形態によってchromoblastomycosisやphaeohyphomycosisなど様々な病型に分けられており,起因菌の種類や宿主の免疫状態など,様々な因子によりこれらの病型が形成されることが知られている.我々が経験した症例もMDSの合併から免疫異常が疑われ,病態への関与が考えられた.そこで過去10年におけるchromomycosis本邦報告例を検討し,起因菌と宿主の免疫状態の観点から本症の病態を検討した.結果,Fonsecaea(F.)pedrosoi感染ではすべてがchromoblastomycosisの病型であった(28例全例)のに対し,E. jeanselmeiでは1例を除く全例がphaeohyphomycosisであった(12/13例).Phialophora(P.)verrucosaではchromoblastomycosisとphaeohyphomycosisがそれぞれ2例ずつであった.またE. jeanselmeiではすべてに膠原病や悪性腫瘍などの合併症が認められ(13例全例),F. pedrosoi(8/15例)やP. verrucosa(2/4例)などと比較して明らかに多くみられた.E. jeanselmeiは免疫に異常がある宿主において感染し,phaeohyphomycosisの病型をとりやすい菌種と思われ,既存の考えを裏付けるものであった.
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