抄録
症例は68歳,女.子宮体癌術後ステージ2のリンパ浮腫に血管肉腫を続発し,Stewart-Treves症候群(以下STSと略す)と診断した.血管肉腫は小結節型で,結節は左下肢と下腹部に散在していた.左鼠径部リンパ節に転移がみられたが,遠隔転移は認めなかったことから局所集中治療を目的に動注化学療法を選択し,腹部大動脈下端部からパクリタキセルを動注した.通院にてbiweeklyでパクリタキセルを15カ月間継続投与した.CR(complete response)となったため,以後ドセタキセル点滴静注をmonthlyで継続した.治療開始から26カ月目,左大腿部に結節病変が1個再発したため単純切除を行い,その後ドセタキセル点滴静注をbiweeklyに戻した.治療開始から36カ月経過した現在まで新たな再発はない.自験例での治療経験からタキソイド系抗腫瘍剤の長期動注療法はSTSに対する治療法の一つとなり得ると判断した.