関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: P-052
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全身性エリトマトーデスとステロイド治療により著明な筋力低下を認め機能改善に難渋した一例
村松 明美保木本 崇弘林 友則相内 駿太朗中山 恭秀
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抄録

【はじめに】中枢神経症状やループス腎炎を伴う全身性エリトマトーデス(以下SLE)には、高用量のステロイド治療が行われる。ステロイドによる筋力低下やステロイド量と運動療法に関する報告はあるが、SLEのステロイド量、腎機能、栄養状態を考慮した運動療法の報告はない。これらを考慮した負荷で運動療法を行い、機能改善を認めた症例を経験したため報告する。

【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に則り対象者に学会での使用について説明し同意を得た。

【症例紹介】診断より30日目にはプレドニゾロン(以下PSL)100 mg/日で、そこから漸減された。理学療法は診断より51日目に開始した。PSL70mg/dl、Alb2.7g/dl、尿蛋白0.838g/日で体幹屈曲、股関節屈曲、外転はMMT1、膝関節伸展、足関節底屈、背屈はMMT2と筋力低下を認めた。

【理学療法経過】診断より132日目にはPSL30 mg/dlに減少し、Alb3.8 g/dl、尿蛋白0.026 g/日であったが、体幹屈曲、股関節屈曲、伸展、外転、足関節底屈はMMT2、膝関節伸展、足関節背屈はMMT3と回復に難渋した。 そこで、近位筋トレーニングと自転車エルゴメーター、歩行練習にて筋力、運動耐容能、歩行能力向上を目指した。診断から170日目にはPSL17.5 mg/dlに減少しAlb3.4 g/dl、尿蛋白0.141 g/日で、足関節底屈はMMT2、体幹屈曲、股関節屈曲、伸展、外転はMMT3、膝関節伸展、足関節背屈はMMT4となり、起立動作や杖歩行が自立し、自覚的疲労度を考慮した連続歩行距離は400mであった。

【考察】著明な筋力低下を呈した症例に、筋力トレーニングと自転車エルゴメーター、歩行練習を組み合わせて介入を行なった結果、筋力や運動耐容能、基本動作、歩行で改善を認めた。血液データや疲労を考慮しながら運動療法を行う事で、筋肉の同化作用を高める効果があったのではないかと考えた。診断から132日目以降はAlb が3.0 g/dl 以上、尿蛋白が0.3 g/日以下となっていたため、運動療法による機能改善が図れたと考えた。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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