日本皮膚科学会雑誌
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原著
Muir-Torre症候群の父子発症例―免疫組織化学検査の有用性―
大島 昇白井 明川口 真喜子生長 奈緒子堀田 綾子齋藤 生朗小川 徹内山 光明朝比奈 昭彦
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2011 年 121 巻 1 号 p. 31-38

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抄録

症例1,45歳男.直腸癌1回,結腸癌1回,左眉毛部にケラトアカントーマ1回の既往がある.2カ月前より右側頭部に自覚症状のない角化性結節が出現し2 cm大まで増大.組織はケラトアカントーマであった.免疫組織化学検査でケラトアカントーマ,直腸癌でh MSH2染色陰性,h MLH1染色陽性であった.症例2,77歳男で症例1の父.結腸癌9回,胃癌4回,20年前より顔にケラトアカントーマ10数回,左鼻翼に有棘細胞癌1回の既往がある.家族歴は息子(症例1)の他に,父が肝癌,姉が結腸癌2回,直腸癌1回,胃癌1回.初診時,右上眼瞼外側に径4 mm,左頬部に径2 mmの黄色小結節を認め,組織は脂腺腺腫及び脂腺腫であり,症例1,症例2をh MSH2を原因遺伝子としたMuir-Torre症候群と診断した.本邦でMuir-Torre症候群は50例の報告があるが,免疫組織化学検査で遺伝子を同定した報告はなく,診断の上で非常に有用と思われた.

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© 2011 日本皮膚科学会
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