日本皮膚科学会雑誌
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121 巻, 1 号
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皮膚科セミナリウム 第69回 皮膚真菌症
  • 望月 隆
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第69回 皮膚真菌症
    2011 年 121 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2014/11/13
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    真菌検査法のうち近年発達の著しい分子生物学的方法について解説した.実例としてリボゾームRNA遺伝子を用いた皮膚糸状菌の菌種レベルの同定の試み,直接検体からDNAを抽出してPCRを行い,培養を経ずに原因菌を判定する手法(directPCR法)の応用例,そしてミトコンドリアDNAやリボゾームRNA遺伝子を用いたSporothrix schenckiiや皮膚糸状菌の種内変異の検出法とそれによる分子疫学への応用例について紹介した.使用にあたっては,各種の分子生物学的方法の感度と特異性を考え,個々の事例についてどのような方法を適応すべきか,またその結果が他の真菌検査の結果や臨床所見と矛盾しないか,よくよく吟味しなくてはならない.
  • 比留間 政太郎
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第69回 皮膚真菌症
    2011 年 121 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    足白癬,爪白癬の診断と治療について,代表的な皮膚科教科書を引用してまとめた.足白癬の病型は,小水疱型,趾間型,さらに,軽度の角化を伴う足白癬を非炎症性落屑・角化型と分類し,従来の角質増殖型を広義に解釈することを提案した.足白癬の治療・対策は,細菌感染,id reactinonなどの2次病変を伴う足白癬に対する治療法の選択がポイントで,足白癬の重症度に応じて,十分な経口剤の併用が望ましい.爪白癬の病態は,爪甲内への真菌(白癬菌,酵母,非白癬性糸状菌)の感染であり,正確な原因菌の同定が治療上も大切である.経口抗真菌剤療法は,爪病変が患者におよぼす身体的・精神的負担を十分に評価して行うことが大切である.
  • 西村 和子
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第69回 皮膚真菌症
    2011 年 121 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    皮膚科の深在性真菌症原因菌の中で重要な地位を占める黒色真菌,FonsecaeaExophialaの各属の病原菌種の形態について述べると共に,これらの菌群におけるリボソームRNA遺伝子ITS領域のクラスター解析を主たる根拠として提案された新菌種について紹介した.
原著
  • 岡﨑 亜希, 早川 和人, 倉田 麻衣子, 平原 和久, 塩原 哲夫
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2014/11/13
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    2008年4月から2009年1月までに当科で入院加療した下肢蜂窩織炎症例26例について,リスクファクターを明らかにするためにprospectiveな検討を試みた.平均年齢は52.0歳,男女比は16:10で,肥満(男性50.0%,女性80.0%),足白癬(80.8%)が高率にみられ,重要なリスクファクターであることが示唆された.また患肢では,健側下肢と比較して骨折,捻挫などの整形外科的な外傷歴(57.7%)や蜂窩織炎の既往(38.5%)が高率に認められた.特に整形外科的外傷歴は平均で約30年前とかなり以前のことが多く,従来は見過ごされてきたものと思われた.原因菌に関しては,入院中から退院後にかけて継続して検査することによりASO,ASKの有意な変動を認めた例が多く,溶連菌が原因と推定される症例の割合が全体の53.8%と予想以上に高かった.血清学的所見に基づいて溶連菌性,非溶連菌性の2群に分けて検討したところ,溶連菌性では,女性,蜂窩織炎病変上の紫斑,有痛性の所属リンパ節腫脹,患肢の蜂窩織炎の既往の4つの項目が優位となった.特に女性患者では溶連菌性が多く,再発のリスクが高いことを念頭におく必要がある.
  • 増永 可奈, 溝手 政博, 杉山 晃子, 栗原 雄一, 国場 尚志
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    69歳男性.全身に紅斑が出現し,テルビナール®による薬疹が疑われ内服中止.薬剤中止後も皮疹遷延し当院紹介.顔面はびまん性潮紅を呈し,全身に播種状紅斑を認めた.初診時40倍であった抗HHV-6 IgG抗体価は,21日後には160倍と上昇を認めた.Drug-induced hypersensitivity syndrome(以下DIHS)原因薬剤は内服していなかったが,臨床経過,検査値はDIHSに酷似していた.近年,被疑薬がDIHS原因薬剤以外で,DIHSと酷似した経過を辿った報告も散見され,今後さらなる症例集積が必要であると考えられた.
  • 大島 昇, 白井 明, 川口 真喜子, 生長 奈緒子, 堀田 綾子, 齋藤 生朗, 小川 徹, 内山 光明, 朝比奈 昭彦
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2014/11/13
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    症例1,45歳男.直腸癌1回,結腸癌1回,左眉毛部にケラトアカントーマ1回の既往がある.2カ月前より右側頭部に自覚症状のない角化性結節が出現し2 cm大まで増大.組織はケラトアカントーマであった.免疫組織化学検査でケラトアカントーマ,直腸癌でh MSH2染色陰性,h MLH1染色陽性であった.症例2,77歳男で症例1の父.結腸癌9回,胃癌4回,20年前より顔にケラトアカントーマ10数回,左鼻翼に有棘細胞癌1回の既往がある.家族歴は息子(症例1)の他に,父が肝癌,姉が結腸癌2回,直腸癌1回,胃癌1回.初診時,右上眼瞼外側に径4 mm,左頬部に径2 mmの黄色小結節を認め,組織は脂腺腺腫及び脂腺腫であり,症例1,症例2をh MSH2を原因遺伝子としたMuir-Torre症候群と診断した.本邦でMuir-Torre症候群は50例の報告があるが,免疫組織化学検査で遺伝子を同定した報告はなく,診断の上で非常に有用と思われた.
  • 又吉 武光, 青木 見佳子, 池田 麻純, 片山 美玲, 川名 誠司
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2014/11/13
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    過去5年の間に,9例のBCG副反応を経験した.受診時年齢は4カ月~1歳4カ月,男児8例,女児1例であった.BCG接種は,生後3~4カ月に行われ,2005年4月の法律改定前後で接種年齢が変化していなかった.9例のうち7例は皮下組織結核性肉芽腫およびその疑い,1例は非環状型汎発性環状肉芽腫1),1例は丘疹状結核疹であった.BCGの副反応の対処法については,以下のように考える.①全身散布性の壊疽性丘疹状結核疹,腺病性苔癬,丘疹状結核疹は数カ月で自然軽快するため,経過観察のみとする.②尋常性狼瘡,皮膚腺病,皮下組織結核性肉芽腫については,2~3カ月間の経過観察を基本とする.経過中,増大,自壊する症例,あるいは閉鎖する傾向がない症例には,生検,菌検索を行い,結核菌が検出された場合には抗結核薬投与を考慮する.抗結核薬の投与期間は,3カ月間~6カ月間が適当である.
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