日本皮膚科学会雑誌
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原著
皮膚原発浸潤性有棘細胞癌(Primary Cutaneous Invasive Squamous cell carcinoma)の臨床病理学的検討:臨床病理学的新分類と予後の関係
福本 大輔安齋 眞一福本 実扶子久保 宜明荒瀬 誠治中西 秀樹
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2011 年 121 巻 11 号 p. 2247-2255

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抄録

1983年から2007年の25年間で,徳島大学病院皮膚科および形成外科で経験した皮膚原発浸潤性有棘細胞癌305例について,特に発症要因を重要視した臨床病理学的新分類法を用いて分類し,日光角化症型,Bowen病型,ケラトアカントーマ型,嚢腫型,外陰部型,瘢痕型,放射線皮膚炎型,色素性乾皮症型,その他,の9型に分類した.各型に関して好発部位や転移の有無/予後の違いなどの臨床病理学的検討を行った.その結果,症例全体の臨床的特徴は,男性に多く発生していること,切除時年齢,発生部位の割合など,本邦における以前の報告とほぼ同様であった.さらに病型では,日光角化症型は転移を起こしにくく,外陰部型・放射性皮膚炎型は転移を起こしやすかった.次に発生部位では顔面に生じたものは転移を起こしにくく,下肢・外陰部に生じたものは転移を起こしやすかった.腫瘍の厚さでは4 mm未満の症例は転移を起こしにくく,4 mm以上の症例は転移を起こしやすかった.調査した25年間を5年毎に区切り,各年代における日光角化症型,Bowen病型,それ以外のタイプの4群の症例数の推移と男女比を調査したが,その構成に大きな変化はなかった.

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© 2011 日本皮膚科学会
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