日本皮膚科学会雑誌
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皮膚科セミナリウム 第93 回 内臓全身と皮膚症状
心と皮膚
片岡 葉子
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2013 年 123 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

疾病の成立あるいは遷延化には生物学的因子,心理的因子,社会的因子の3つが互いに相関を持ちながら関与しており,これらを考慮することは皮膚科診療においても有意義である.心理社会的,生物学的両面から心(脳)と皮膚をつなぐメカニズムを概説した.生物学的には,内分泌経路(hypothalamus-pituitary-adrenalaxis;HPA),自律神経経路(sympatheticaxis;SA),神経ペプチドを介する経路(neurotrophinneuropeptideaxis;NNA)の3つの系で連絡がありこれに免疫系が加わって皮膚における心身相関に関与していると考えられている.生物学的にも心理社会的にも心身相関は一方向の因果関係ではなく,悪循環によって症状の遷延化に加担していることを理解する必要がある.このことを踏まえて,皮膚科診療における心身医学的治療の要点として,適切な身体的治療の重要性,治療的自我の養成,信頼関係を確立する面接の方法,治療方針の立て方,チーム医療の意義について略説した.

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