日本皮膚科学会雑誌
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原著
円形脱毛症に対するセファランチンと他剤の併用療法の有効性に関する検討
齊藤 典充新山 史朗向野 哲前島 秀樹天羽 康之神田 奈緒子澁谷 修一郎矢野 正一郎大西 誉光石川 武子渡辺 晋一臼井 恵太郎大槻 マミ太郎簱持 淳山崎 雙次伊藤 泰介瀧川 雅浩谷田 有里佳勝岡 憲生
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2013 年 123 巻 1 号 p. 9-15

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抄録
16歳以上の円形脱毛症患者71例に対し,セファランチンと他剤の併用療法を行い,病型別にその臨床効果,併用薬剤数,有害事象等について検討した.セファランチンに併用された薬剤(治療法)は,グリチルリチン製剤,ステロイド外用剤,塩化カルプロニウム液,液体窒素療法であった.全71例における改善度は著効8例(11.3%),有効34例(47.9%),やや有効23例(32.4%),不変5例(7.0%),悪化1例(1.4%)で,有効以上の症例は42例であり,有効率は59.2%であった.単発型の治療は,2種類の薬剤を用いた症例が最も多く9例で,そのうちの7例(77.8%)がセファランチンとグリチルリチン製剤あるいは第2世代抗ヒスタミン剤(以下グリチルリチン製剤等)の経口剤の併用であった.多発型においては各々の併用薬剤と対照群との有効率を比較すると,各種併用薬,併用療法を用いた群と用いなかった群の有効率の間に有意差は認められなかった.次に二剤併用群の有効以上の症例の治療内容を検討してみた.その結果セファランチンと塩化カルプロニウム9例中8例(88.9%),セファランチンとステロイド外用剤が4例中3例(75.0%)であり,経口剤と外用剤の併用が行われた症例が経口剤のみを併用したセファランチン・グリチルリチン製剤群11例中5例(45.4%)に比し高い有効率があり有意差が認められた(p<0.05).以上よりセファランチンは他剤特に塩化カルプロニウム液ないしはステロイド外用剤との併用療法が臨床的に有効であると言える.
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© 2013 日本皮膚科学会
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