日本皮膚科学会雑誌
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原著
指趾表在性動静脈奇形6例の検討
一角 直行高井 利浩村田 洋三熊野 公子平林 研二
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2013 年 123 巻 3 号 p. 297-302

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抄録

1993年から2009年までに当科で経験した指趾発生の動静脈奇形6例(手指5例,足趾1例)について臨床病理組織学的に検討した.皮疹は点状,線状の紅斑からなる約10 mm大の紅色局面で,全例で外傷歴は明らかではなかった.病理組織学的には,真皮網状層中層から深層に壁の厚さが多様で,不規則な形状を呈する血管が増加していた.同一の血管においても厚い血管壁と薄い血管壁とが不均一に混在し,正常組織には存在しない奇形血管であることが特徴的であった.特殊染色,免疫組織化学染色では,血管壁の平滑筋の厚さ,弾性板の分布が不均一であることが明瞭に示された.動静脈吻合部は連続切片においても見られなかった.これらの所見は脳における先天性の動静脈奇形の病理所見と本態的に同様であり,外傷性,後天性とは考えられない.指趾の一部に病変が局在し,奇形血管が真皮内に限局する動静脈奇形を,指趾表在性動静脈奇形(superficial digital arteriovenous malformation)と呼称することを提案する.

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© 2013 日本皮膚科学会
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