2017 年 127 巻 11 号 p. 2477-2481
50歳の女性.幼少期から背部に色素斑があり10年前から徐々に増大して15 mm×14 mmの色調が不均一な黒褐色斑となった.病理組織学的には病巣の一端に定型的なdysplastic nevus(DN)の所見があり,それに連続して表皮内に軽度の異型性を示す孤立性メラノサイトの顕著な増殖が広範囲に認められた.以上の所見からDNから表皮内メラノーマへと進展しつつある病変と診断した.BRAF遺伝子解析にてV600K変異が検出された.近年,病理所見に基づく詳細な遺伝子変異解析研究によりメラノーマの前駆病変の特徴が明らかにされており,本症例もそれに該当すると考えられた.