2017 年 127 巻 6 号 p. 1303-1307
ステロイド内服治療による一般的な副作用は用量依存性で投与量が5~10 mg以下で消失することが多いため,ステロイドの効果が得られた後は速やかに減量したい.しかし,急激にステロイド量を減量すると時に免疫変調によるリバウンド現象がみられることがある.その病態の一つに免疫再構築症候群があり,これは一定期間の免疫抑制状態を急に解除するために,急激に免疫が回復し再構築したタイミングで自己反応性もしくは感染細胞に対する細胞障害性T細胞による組織障害である.経過を通じて免疫状態を把握し,ウイルスの再活性化やマイコプラズマ感染症の後にはステロイド量の急速な減量を避け,感染症対策を行い症状をみながらステロイドを徐々に減量していくことが良い.
ステロイド治療は,諸刃の刃であるため一方的な判断が予期せぬ結果を招くことがあるので,常に光と影を想定しながら治療を進める必要がある.