日本皮膚科学会雑誌
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原著
有限要素法による周術期大臀筋・臀部皮膚傷害発生機序解析のこころみ
服部 ゆかり黒田 嘉宏大城 理宇谷 厚志
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2017 年 127 巻 8 号 p. 1765-1770

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抄録

筆者らは周術期の潜在的な大臀筋傷害を画像,血液検査で見出し,その一部は臀部の皮膚傷害を伴うことを報告した.MRI画像所見より原因のひとつとして大臀筋の温度上昇による傷害を想定し,解剖学的構築および組織の電気伝導度を計算した3次元モデルを作成し,術中の電気メス使用により熱による組織傷害がおきうるか有限要素法を用いた解析を施行した.骨盤底に近い部位を操作する手術において大臀筋の温度上昇の可能性が裏付けられ,泌尿器科の手術症例で大臀筋傷害が多くみられる事実と一致した.この解析で病態のすべてを説明することはできないが,大臀筋の温度上昇が原因のひとつとなっている可能性が示された.

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