日本皮膚科学会雑誌
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原著
腎移植患者548例における,水痘帯状疱疹ウイルス感染症の検討
高島 有香守内 玲寧白戸 貴久和田 吉生福澤 信之原田 浩清水 聡子
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2020 年 130 巻 11 号 p. 2373-2377

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抄録

臓器移植患者は免疫抑制のため水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症のリスクが高く,重症化の恐れもあるが,これまで多数例の検討は少なく,治療基準も明確ではない.当施設で施行された腎移植548症例中VZV感染症を発症した81例につき,患者背景,発症頻度,移植から発症までの期間,臨床症状をレトロスペクティブに検証した.汎発型帯状疱疹を11例に認め,うち1例は脳炎を合併し死亡した.腎移植後のVZV感染症診療の際には,速やかな治療開始と慎重な観察が必須であるが,腎移植後1年間以内の患者や献腎移植患者では特に発症率が高く,より慎重な観察が重要である.

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© 2020 日本皮膚科学会
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