2020 年 130 巻 4 号 p. 607-612
46歳,男性.初診2カ月前から頭部の脱毛に気付き,急速に拡大した.初診時,前頭部~頭頂部,側頭部にびまん性脱毛を認めた.他に明らかな皮膚症状は認めなかった.問診により初診5カ月前に感染機会あり.精査にてRPR 6,120 R.U.,TP 7,140 T.U.であり梅毒性脱毛症と診断した.アモキシシリン内服開始し,速やかに脱毛は改善し,24週間後には正常に復した.RPRも24週間後には5.1 R.U.に低下した.頭部の脱毛を主訴に来院した場合,梅毒性脱毛症の可能性も考慮すべきである.