2021 年 131 巻 12 号 p. 2583-2588
19歳,女性.2カ月前より頭部に境界不明瞭な脱毛が出現し,円形脱毛症として加療された.しかし,脱毛出現と同時期からの体重減少が判明し,汎血球減少,抗核抗体・抗dsDNA-IgG抗体・抗Sm抗体陽性,低補体価を認めた.皮膚生検で瘢痕性脱毛の所見なく,真皮深層以深のムチン沈着と,蛍光抗体直接法にて表皮基底膜と毛包上皮にIgGとIgMの沈着を確認した.全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う非瘢痕性脱毛と診断し,ヒドロキシクロロキン内服で脱毛は改善した.非瘢痕性脱毛はSLEの主要な皮膚症状の1つであり,脱毛症の鑑別疾患として重要である.