抄録
昭和12年伊藤等は毛髪栄養に対するレチチンの参与に就てと題して家兎皮膚にレチチンワゼリンを塗貼し,著明なる毛髪発生及び伸長を認め且つ組織学的に精細なる観察をなした論文を発表している.余は毛髪発生に際して細胞内核酸の態度を知らんと欲し,組織化学的にその動態を追究したので報告したい.実験方法:伊藤等の方法を踏襲した.即ち体重3,000g内外の白色家兎背部を損傷を与えざる様に注意して可及的短く剪毛し,その左側に大豆油レチチン3,局方ワゼリン4の割合に混和した軟膏を,右側上部にラノリン3,ワゼリン4,同下方に1%の割合にアドレナリンを加えたラノリン・ワゼリン軟膏を夫々塗貼し,護謨紙を以て気密にその上を繃帯固定した.而して24時間後に1回夫々新たなものと交換し,計48時間塗貼した後検索に供した.標本はUnna-Pappenheim染色,Erickson法,Thionin法及び一般染色を行なつた.