日本皮膚科学会雑誌
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67 巻, 9 号
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  • 今井 利一
    1957 年 67 巻 9 号 p. 581-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
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    最良の条件の下に発育した葡萄球菌のあるものが濾過性の毒素を産生することはVan de Velde(1894),Denys and Haust(1898),Lingeschleim(1899),Kraus and Chairmont(1900),Neisser und wechsberg(1901)等の研究により周知のことである.Parker(1924)は此の毒素濾液が溶血性であり,殊に家兎の赤血球に対して溶血作用の著明なることを認めた.此の毒素産生は一般に病原性葡萄球菌,殊にaureus株に限定されている.Staphylolysinは一般にα-,β-,γ-Lysinの3種に分類され,α-Hemolysinは人体より得られる病源菌株に多く見られ,家兎の赤血球に対し溶血作用を有するが,人血球には溶血作用が無いと考えられている.余は凝集反応と全く同様の理念に基いて血中の抗溶血素価の測定によりその個体の病原性葡萄球菌感作状態を知らんと欲した(文献の一部は第2篇に既述した).
  • 梶川 宏, 飯澤 二郎
    1957 年 67 巻 9 号 p. 588-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    皮膚色に関する研究は古来種々の方面から行われており,本邦に於ける最近の業蹟にも人類学的,解剖学的立場から,或は皮膚科学的に皮膚病,全身疾患との関連に於て,又照射光線と皮膚感受性,特に紅斑,色素沈着との問題等に就ての研究が報告されている.然しながら之等の研究は色の表示法の困難さの為に著しく阻害されて来た.即ち現在やゝ一般に行われている色の表示法にも,森-金子のOswald色彩理論に基く表示法,東及び森の光電池にフィルターを組合せた光電色沢計の読みによる表示法,又Luschan,Frisch,Gates等の臨床的に写生せる色票の番号を以てする表示あり,夫々の立場から独自の測定値を発表しており,之等測定値の相互の関係を求めるのは殆ど不可能の状態にある.一方最近の物理学的測定法の進歩により,分光測定法が比較的容易に行われ,物質構造と光線吸収性の特異的関係を応用して,紫外部から赤外部に至る広範囲に於て吸収測定が行われているが,反射光の分光測定に就ては分光反射曲線から構成物質の分析を試みんとの企てがGoldzieher其他に依つて行われ,紫外部に於てやゝ興味ある知見を得たが,可視部では未だ見るべき成果が無いと報告している.色の測定,表示には前述の如く種々の困難さがあるが,之を客観的な数値として表示するには分光測定法に基き,C.I.E.(Commission Internationale d'Eclaisage)に準拠する国際表色で表示するのが最も適当であると考えられるが,分光測定法には未だ多少の困難さがあり,多数の測定には適さない為,分光測定法によりC.I.E.値を予め測定した色票を以て比色する間接法が簡便法として行われ,此の方法で西浦,広渡は夫々季節的消長,地域的の皮膚色調変化に就き報告した.然しながら色票による測定も,色票の構造,光源等の問題があり,此の困難さの為に,特に病的皮膚の測定には分光測定法に求めねばならぬ状態にしばしば遭遇する.次に光線皮膚炎との関係から遮光物質の研究が行われ,種々の薬物の光線吸収の状態の追求も亦なされており,これら薬物の光線感作作用,並びに遮光作用等の光力学的作用も次第に解明されつゝある現状にある.著者等は海水浴時の光線の影響と関連して健康者の皮膚色調の変化を追求し,各種皮膚色素異常症の皮膚色調を測定し,一方諸種薬物の光線吸収性に就ても測定し得たので其の結果を茲に報告する.
  • 武者 功
    1957 年 67 巻 9 号 p. 599-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
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    組織学的に湿疹類似像を招来する動物実験として,1931年MayerはParaphenylendiaminを用いてモルモット腹部皮膚に,1955年W. Jadassohn et al.は2-4-Dinitrochlorbenzeneを用いてモルモット乳房部皮膚に共に感作の方法に依つて実施し湿疹初発組織像を検討している.余も上記の物質を用い,モルモット乳房部皮膚は毛,毛嚢少く,人間の皮膚組織に類似する点で実験に好適であるとのJadassohnの提言に倣つて該部に応用した.又葡萄状並びに連鎖状球菌による皮膚炎を惹起せしめ,余の第1報白癬菌接種所見と比較する目的で項部に実施し,併せて核酸の動態を追求した.実験材料.動物は白色家兎(体重2,500~3,000g)及び白色モルモット(体重500g以上)を用いた.起炎物質としては2-4-Dinitrochlorbenzene,Paraphenylendiamin,塩酸ヒスタミン及び超軟レントゲン線(Grenz Strahlen)を,化膿菌としてはStaphylococcus pyogenes aureus,Staphylococcus pyogenes albus及びStreptococcus pyogenesを使用した.組織標本は一般染色の外,核酸染色としてUnna-Pa-ppenheim法,Feulgen反応を基本とし,RNAの判定にはEricksonの過塩素酸処理法及び柴谷の0.5%Thionin染色によるメタクロマジーの有無の方法に依つた.
  • 武者 功
    1957 年 67 巻 9 号 p. 611-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    昭和12年伊藤等は毛髪栄養に対するレチチンの参与に就てと題して家兎皮膚にレチチンワゼリンを塗貼し,著明なる毛髪発生及び伸長を認め且つ組織学的に精細なる観察をなした論文を発表している.余は毛髪発生に際して細胞内核酸の態度を知らんと欲し,組織化学的にその動態を追究したので報告したい.実験方法:伊藤等の方法を踏襲した.即ち体重3,000g内外の白色家兎背部を損傷を与えざる様に注意して可及的短く剪毛し,その左側に大豆油レチチン3,局方ワゼリン4の割合に混和した軟膏を,右側上部にラノリン3,ワゼリン4,同下方に1%の割合にアドレナリンを加えたラノリン・ワゼリン軟膏を夫々塗貼し,護謨紙を以て気密にその上を繃帯固定した.而して24時間後に1回夫々新たなものと交換し,計48時間塗貼した後検索に供した.標本はUnna-Pappenheim染色,Erickson法,Thionin法及び一般染色を行なつた.
  • 佐藤 哲司
    1957 年 67 巻 9 号 p. 614-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
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    メラニン形成の問題に於てチロジナーゼ,ドーパオキシダーゼ等の特異的酸化酵素が重視され,亦カタラーゼ,インドフェノールオキシダーゼやペルオキシダーゼ等の非特異的酸化酵素の参与を吾人は注目しているが,是等の酵素活動の基盤となり,或はその綜合状態としての場の一般的酸化還元態勢も亦検討されねばならない.我が教室ではかねてより此の問題をUnnaの酸素部位―還元部位染色法により追及して来たが,余は本染色並びにマスト細胞染色法による観察から最近得た2,3の興味ある知見を報告し諸賢の御批判を仰ぎたいと思う.
  • 佐藤 哲司
    1957 年 67 巻 9 号 p. 619-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
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    先に余等が表皮を主竈とする反応性疾患に於ける表現型の問題を論じた際Vidal苔癬,播種状神経皮膚炎,Besnier湿疹等の苔癬型皮膚炎の表皮にみられるグリコーゲン蓄積の配置,態度が急性湿疹に於ける夫れと対蹠的であり,貨幣状湿疹では是等両者の特徴を併有する所見を指摘したが其の後更に症例を重ねて此の事実を確認したので,健常並びに真皮反応性疾患に於ける表皮グリコーゲンの検索所見と併せて茲に報告する.グリコーゲンはClaude Bernard以来組織化学的に検出される多糖類の1つとして各方面の研究が行われ,人間表皮では胎生初期に全層に亘つて蓄積分布していたグリコーゲンが,胎生期の進行につれ基底層より消失し漸次上層にのみ残る様になり胎生6カ月以後には全くその姿を消し,一方毛嚢,皮脂腺,汗腺等の表皮附属器官では,是等の原基には存在せず分化に従つて漸次蓄積を示す事実が観察され注目されていた(Bosselini,Lombardo,Sasakawa).最近Periodic Acid-Schiff(PAS)反応が組織化学に応用され是に関する研究報告が相踵いで発表されたがBollinger et al.,Stoughton et al.,Montagna et al.,Warren,Dupre,Braun-Falco等は人間健常皮膚に就て検索し,グリコーゲンは表皮附属器官及び其の周囲に相当量の蓄積を示す他,上層の棘細胞内にも若干(報告者により多少の差があるが)存在し,基底層や顆粒層には例外的にしか指摘されず,角質層には全く缺如することが観察された.病変所見に就てはSteigleder,Prunieras,Steiner等が表皮反応性疾患の表皮に於けるグリコーゲン増加を指摘し,特にBraun-Falcoはアカントーゼを呈する各種疾患のRetezapfen中央部に屡々高度のグリコーゲン蓄積を認め,湿疹時の滲出性病変に於ても亦著明に増加すると記述し,Steinerも同様の観察を行つたが,皮膚炎の各病型に対する特徴的所見を認め難いとし,我国では野口他が是とアルカリフォスファターゼとの関係を発表している.皮膚に於けるグリコーゲンの意義に関し,汗腺では分泌機能に対応する消長が観察され其の機能営為に必要なエネルギー源と見做された(Montagna et al.,Shelley et al.,Rothman,小堀他,Cormia et al.)が是に比し遥かに複雑な機能を有する一般表皮に於けるグリコーゲン蓄積の意義に就ては,各種実験的並びに病理学的観察に基いた2,3の臆測が試みられているに過ぎな
  • 笹井 陽一郎
    1957 年 67 巻 9 号 p. 626-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
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    結節性紅斑は1860年Hebraが多型滲出性紅斑より独立させて以来,その原因病理に関して種々論議されて来た.Uffelmannに始る結核説は特に小児科側で重視され,Wallgren,Philippson等は小児の結核初感染に際し約70%に本症が観察されると報じている.本邦に於ても小池,皆見―古賀,萩原,熊谷,青島,伊藤等が結核に関係ある如く推察される例を述べ,パザン氏硬結性紅斑乃至結節性結核性静脈炎との関連についてはFalk,藤浪等が注目しているが,特に伊藤は本症を結核アレルギーの転換に対応する表現の変化と解釈している.一方化膿球菌との関連性も屡々述べられるところであり(Frankel,Favour及びSosman,Pilot,本間),特に病巣感染の意義が重視されている.その他梅毒,癩,白癬,第4性病等もその原因たり得るといわれるが何れにせよ本症のアレルギー症なることは論を俟たないところであろう.近来結核治療の進歩につれ重症結核の減少は世界の趨勢であり,又各種抗生剤乃至化学療法剤の発達,普及は本症の病型を変化せしめつゝあることは推測に難くない.著者は東北大学皮膚科外来を訪れた本症患者につき,この観点より統計的且つ組織学的観察を試みた.
  • 1957 年 67 巻 9 号 p. 634-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
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