抄録
奥野教授は瘙の研究を始めた頭初,アミノ酸(グリシン,アラニン,フェニ-ルアラニンなど),ペプチードの如き,いわゆる起痒性物質と稱する化学物質が瘙の発生に密接な関係を有するのではあるまいかという意見を持つていたが(皮と泌,17,484,昭30),その後の研究により濕疹,皮膚炎の如き皮膚の炎症にともなう瘙はそのような起痒性物質が皮疹の内部に生じ,それが神経線維を刺激することによつて発生するのではなく,刺激にたいして興奮性の亢進せる神経線維(疼痛神経)が病巣の内外から緩徐に刺激される場合に発生するのであつて,炎症に基く瘙の発生には必ずしも起痒性物質の存在を必要としないという見解に変つた.それはつぎの章で述べる如き理由に基く.