日本皮膚科学会雑誌
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癩に於ける結核様反応
平子 真
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1959 年 69 巻 8 号 p. 1076-

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抄録

著者は神経癩の急性増悪時及び癩腫癩から生じた2次的結核様癩に類肉腫症の1症状としてのUveoparotid feverに一致する症状の発生を認め,この場合耳下腺組織に類肉腫組織に於けると同様の類上皮細胞の増殖を,且つこれとともに癩菌を証明した.次いで癩腫癩に於ける結核様反応を観察したが,その発生機転には2様のものがあり,1は菌の増殖に対する反応として,他は化学療法の結果,菌の急激な死滅を来し,これに対する異物反応としてこの反応を生ずると考える.更に上記癩腫癩に於ける結核様反応及び結核様癩の一般所見の観察に立つて,結核様癩を癩腫癩に対立する極型とせず非癩腫癩に於ける1反応期相とするのを妥当とした.結核様癩は組織学的に類上皮細胞の増殖を呈し,類肉腫症に類似するものがあるが,類肉腫症の特異皮膚反応であるKveim反応が結核様癩の増悪期に高率に陽性を,癩腫癩の全例に陰性を呈することを認めた.以上の諸所見から結核様癩をも含めて癩に於ける結核様反応には類肉腫症に類似するものがあると考える.

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© 1959 日本皮膚科学会
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