日本皮膚科学会雑誌
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69 巻, 8 号
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  • 川崎 晃彦
    1959 年 69 巻 8 号 p. 731-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    我々は既に各種膠原病患者尿中にフェニールアラニン,チロジンの仮想的中間代謝物とされている2,5-Dihydroxyphenyl pyruvic acid (2,5-DHPPA)が絶えず且つ特異的に排泄されていることを1次元上行性ペーパークロマトグラフィーによって証明し得た1)~5).更にフェニールアラニン,チロジンの一般中間代謝物の尿中排泄量にも膠原病に可なり特異的な異常が存すること6)~8)、L-チロジン負荷が各種膠原病の臨床症状及び臨床諸検査成績を増悪させるか,フェニールアラニン,チロジン減食餌療法は反対臨床症状及び諸検査成績に好影響を与えたことを報告した9)~11).しかし2,5-DHPPAの1次元上行性ペーパークロマトグラフィーでは他にまぎらわしい蛍光を発する斑点が存するため熟練しなければその判定に苦しむ場合かあった.
  • 松下 昇
    1959 年 69 巻 8 号 p. 739-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    既に我,々は1次元上行性ペーパークロマトグラフィーによる膠原病患者尿中の2,5-Dihydroxyphenyl pyruvic acid lactone ( 2,5-DHPPA lactone)の定性(同定)法について報告し. (1)本定性法は1次元上行性ペーパークロマトグラフィーによる2,5-DHPPAの同定法と同様各種膠原病に特異的且つ常に陽性であってしかも2,5-DHPPA lactone の斑点は2,5-DHPPAのそれに比してその判定が容易である点が優れていることを報告した.今回はColumn Chromatography および光電比色計を併用した尿中2,5-DHPPA lactone の定量法について報告する.
  • 力津 昌幸
    1959 年 69 巻 8 号 p. 749-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    我々は既に尿中2,5-Dihydroxyphenyl pyruvic acid lactone (2,5-DHPPA) lactoneの1次元上行性ペーパークロマトグラフイーによる定性法1)及びカラムクロマトグラフィー及び光電比色計を併用した定量法2)について報告し,尿中2,5-DHPPA lactone の存在は膠原病に特異的であり,従って有力な診断法の1つとなり得ることを報告した.
  • 宮沢 勲
    1959 年 69 巻 8 号 p. 763-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    膠原病の概念が普及すると共に結合織間基質の問題が脚光をあぴ,その病理組織学的研究は勿論のこと之れと相俟って生化学的研究が進められている.これら基質の主要構成々分はムコ蛋白乃至ムコ多糖類(ヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸等)であることは早くより知られていて,組織化学の進歩と共に皮膚科領域にも多数の研究か報告されている1)2)3).しかし之等物質の体内代謝乃至は生化学的意義については未だ知られるところは少ない.一方ムコ蛋白乃至ムコ多糖体の分類,名称についてはMeyer4)5),Stacey5)正宗6)等の詳細な研究かあるが未だ諸家の意見が必ずしも一致しているとはいえない.
  • 宮沢 勲
    1959 年 69 巻 8 号 p. 783-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    第Ⅰ編に於て各種皮膚疾患々者の血清ムコ蛋白量を測定し疾患別の消長を検討したか,個々の症例により可成変動が大きいことを知り,之は一つには皮膚病変の如何に基く他,全身的影響,とくに内分泌との関係が重視されることを述べた.又2-3の症例に下垂体-副腎皮質系ホルモンその他2-3薬剤を投与し,臨床経過の推移と共にムコ蛋白量の変動を認めた.今回は家兎に於て漆実験的皮膚炎及びアルチュス現象を惹起せしめ,血清ムコ蛋白の変動をみると共に, ACTH,ハイドロコーチゾン・,及びその他2-3の抗炎症性乃至は多糖類代謝に関衈ありと思われる薬剤を投与して,その影響をしらべいささかの知見を得たので報告する.
  • 立原 義夫
    1959 年 69 巻 8 号 p. 790-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    昭和29年以後著者は小堀,伊東等と共に1)2)血管腫のP32外面照射療法を行ってきたか,その間に従来血管腫と一括されていたものの中には,本治療法に極めてよく反応するものと,然らざるものとがあって,何故に然るのかに疑問を感じた.そこでこの点を究明せんとして,著者は血管腫の肉眼的並びに組織学的に就ての型式の差異に関心を持ちつつ、これに主としてP32外面照射療法,1部にはChaoul近接照射,Au198腫瘍内注射療法を施行した結果,治療成績と血管腫の組織構造との間には極めて密接な関係のあることを知り得たので,著者か新たに試みた組織構造に依る血管腫の分類試案に基いてこれを報告したい.
  • 津曲 久之
    1959 年 69 巻 8 号 p. 808-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    細菌学における単個菌の分離培養に関する研究の歴史は古く, Barber(1908)に次いでTopley等,φrskov,Wimoscher, Georg. Zeltar. Maltos等,E..Marixの業績が見られ,本邦でも許,中村敬三教授およびその協同研究者の業績をあげることか出来る.糸状菌に関してはLa. Bue, Keit, Lambert等によって試みられ,本邦でも高橋(吉)教授とその協同研究者によって研究されているか,胞子浮游液を寒天の表面にひろげ,顕微鏡下に1個の胞子になっているものを採し,胞子のある部分をブロックとして取り,新しい寒天培地に移植する方法をとっている.この方法で=は培養法の関係上,顕微鏡下にその発育を追求することは困難であり,また得られた成績も集落に関するものである.
  • 平井 守
    1959 年 69 巻 8 号 p. 838-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    皮膚の組織病変,殊に組織に於ける炎症性組織病変に於ける細胞浸潤に参加する細胞種類の中に形質細胞かおり,特に梅毒性病変ではその出現か1つの特徴といえることは周知のとおりである. 著者は本篇に於て各種皮膚組織病変に於ける形質細胞の出現,増殖する様相,その起源を観察し,又その発生に関し若干の知見を得たのであるが,形質細胞の発生,起源に関する学説は従来甚だしく紛糾している.今文献を通覧してこれを整理すると形質細胞の起源には凡そ次の諸説がある.
  • 平井 守, 平井 守, 浜本 泰夫
    1959 年 69 巻 8 号 p. 853-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    Periarteritis nodosa はKuBmaul-Maierにより始めて記載され(1866),その後Gruber, Lindberg, Arkin,Ketron-Bernstein, Miescher, Slinger-Strack等の綜説,症例報告を含めて数百例に上っている.本邦に於ても、土肥(慶),渡辺,荒田,江頭、岡林,富田,溝口一肥田野,野波一立原,宮崎,等の綜説,症例報告があり,その数は漸増レている.最近そのアレルギー性が強調され,或は膠原病に属するものとして諸家の注目をひいているが,晨近その1例型経験したので爰に報告する次第である.
  • 山田 桜子
    1959 年 69 巻 8 号 p. 856-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    本邦に於て青年乃至成年女子に特有とされている進行性指掌角皮症にはその原因として女子性腺内分泌障碍が考えられ,その治療には女性ホルモン療法が有効とされている.但し本症は機械的刺戟を主因とするし,又皮膚素質としてのアルカリ中和能の不足が本症に素因的意義を有するとする説もあり,本篇に於て著者は卵巣機能の観察法とされる基礎体温測定を本症々例,特に又本症の女性ホルモン治療例に行い,その所見から本症に於ける卵巣機能状態を再検討することを試みた.本症150例を統計,整理したところでは,既婚者が全患者の1/3弱を占めるが,この既婚者の過半数は結婚後に発病している.結婚後の発病には結婚後の家事,先ず水仕事が誘因的意義を有すると見られる.妊娠,分娩の影響は一般的には尠いものゝようである.本症150例に就て基礎体温曲線を作圖すると,症例の20%に不定型曲線,又4.6%に1相型曲線が得られ,その頻度は健常成人女子に於ける夫々の頻度を著しく凌駕している.然かも又罹患度に於て第1度に属し,発病来年数に於て1年以内にある症例にも不定型曲線を示すものが相当の率に存在することは,本症に性腺内分泌障碍が大きな原因的意義を持つことを考えさせる.本症々例の月経周期は健常成人女子の夫れに比し稍々長きに傾く,本症では又月経周期中皮膚症状に一定の消長あることが従来から云はれているが,著者の場合基礎体温曲線が2相型を示すものゝ75.5%,不定型を示すものゝ77.0%に月経前期に皮膚症状の悪化が見られた.なお,基礎体温の細部所見として,低温期間の延長及び高温期間の短縮傾向,より緩除な体温上昇勾配,体温日差の比較的高値を挙げることができる.卵胞ホルモン療法は本症の皮膚症状に有効,同時に基礎体温曲線を正常化させる.以上,基礎体温曲線の観察,卵胞ホルモンの効果から,本症に性腺内分泌障碍が原因的に意義を持つと考えられる.本症に唾液腺ホルモン療法を試み,これ亦皮膚症状に有効,同時に基礎体温曲線にも正常化を認めた.この場合唾液腺ホルモンの効用は上皮性皮膚要素への直接的作用にあるか,性腺内分泌への作用を介しての間接的なものであるかはなお不明である.
  • 谷中 秀治, 大西 義久
    1959 年 69 巻 8 号 p. 883-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    エリテマトーデスはCazenave (1851)が初めてLupuserythematosus としてその慢性型を発表し,次いでKaposi (1872)がその急性型の存在を指摘した皮膚疾患である. Libman敗びSacks (1924)は特有な疣贅性心内膜炎を認め臨床的に進行性貧血,関節炎様症状,急性糸球体腎炎及び中心の白い皮膚出血等の症状を呈する例を報告し,後にGrossはこのLibman-Sacks症候群中にエリテマト-デスと同様な皮膚病変があるものとないものとがあることを報告している.周知のようにP. Klempererは病理学的見地から膠原病なる概念提唱したが,エリテマトーデスがその有力な一員として加わっていた.
  • 笹尾 信
    1959 年 69 巻 8 号 p. 891-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    伝染性軟属種に関する形態学的研究は既に古くから多くの研究者により光学顕微鏡的に研究せられており,その特徴的組織像並びに細胞病理学的変化としての表皮辣状細胞の肥大増殖に始まり無数の基本小体より成る封入体即ち伝染性軟属腫小体(Henderson-Patterson)の形成までに至る各種変化並びにその組織化学に就てはあまねく知られている所である.
  • 1959 年 69 巻 8 号 p. 186e-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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  • 安西 喬
    1959 年 69 巻 8 号 p. 899-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    皮膚科学では古くから病理形態学的知見が重んぜられ,病理の解釈,病因の解明もこの観点に立つてなされてきた.然るに近年新に皮膚の機能乃至機能障碍が研究の大きな対象とされるに至り,その中でも皮膚の代謝機能乃至その障碍の検索に手を染める者が尠くなく,茲に皮膚科学研究の新分野が開けた観がある.然るに皮膚は他の器官,臓器と異り,繊維性構造を主としており,この為代謝方面の検査には多くの困難が存在する,このことは正に遺憾であるが,著者は茲に代謝機能の一環として,皮膚の組織呼吸を取り上げ,これを各種皮膚疾患に就て検討し,併せてTCAサイクルの中で主要な意義を持つ琥珀酸デヒドロゲナーゼの組織化学的知見を求め,これ等から皮膚疾患病態像の一面を窺わんとした次第である.
  • 上野 賢一
    1959 年 69 巻 8 号 p. 921-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    項部菱形皮膚は逐齢的にその発生頻度を増し,常に男子に於て女子より遥かに優る.臨床所見も,男子では変化が著しく概ね肥厚型をとるに比し,女子では変化軽度で且つ萎縮型が多い.日光照射の影響は著明に認められたが,悪性腫瘍のそれは認められなかつた.発生機序として真皮弾力線維の変性,項部皮膚に加わる反覆性伸縮運動に加うるに,毛嚢中心性の変化の関与を考えた.顔面の皺のうち,鼻唇溝及び口囲のものは女子に早く来り且つ著しく,それ以外のものは男子に早く来り且つ著しい.眉毛の変化は女子に脱毛と短毛とが,男子に白毛と長毛とが著しい.耳毛は男子に於て逐齢的発生を認めるが,女子には殆ど認められない.老人性色素斑は,加齢と共に顔面の主に辺縁,躯幹,四肢に生じ,性差は著しくない.組織学的特徴はepidermal germ様表皮突起の増殖であり,25個標本中2個に癌前駆性メラノーゼ類似の像を見た.陰嚢色素斑の組織像も老人性色素斑のそれに大体一致する.治療に高単位女性ホルモン軟膏を用い稍々有効であつた.老人性疣贅は20代に既に認められ,以後逐齢的に増加,常に男子に女子よりも高い頻度に見られる.部位では頭顔部,胸,及び四肢に多く,この点外国文献と異る.76個の組織所見よりこれを網状型,腺腫様型,充実型,鋸歯状型,混合型,及びBloch型の6型に分類した.治療として高単位女性ホルモン軟膏が比較的有効であつた.所謂老人性小疣贅(小嶋)の組織像は本症の網状型のそれに一致した.老人性角化腫の1例を記載,これを老人性疣贅,及びBowen病とは別症と看做した.各年齢層に亘る男女の皮膚健常者群,及びアレルギー性皮膚疾患々者群計557名に,1万倍Adrenalin,100倍Acetylcholin,2万倍Histamin,及び10万倍Morphinの4種皮内反応を実施するに,紅斑は両群の何れに於ても,且つ全反応を通じて逐齢的に減弱化する傾向,Adrenalin反応の貧血斑及びHistamin反応の膨疹は健常者では有意の変動なく,アレルギー性皮膚疾患々者では逐齢的に減弱する傾向あり,Acetycholin反応の膨疹には皮膚健常者,アレルギー性皮膚疾患々者の何れにも逐齢的に減弱する傾向を認めた.Morphin反応の膨疹は皮膚健常者では有意に変動しないが,アレルギー性皮膚疾患々者では逐齢的に増強の傾向を示した.これ等は老人皮膚の血管運動性及び透過性の低下,淋巴系統の減弱に基くと考えられる.
  • 渡辺 靖
    1959 年 69 巻 8 号 p. 951-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    所謂食餌性アレルギーの臨床症例を材料とする研究が盛になつたのは1908年Horwiβが卵白に対する,Hutinelが牛乳に対する過敏性の症例を報告してからであるが,1912年Schlossが始めて皮膚反応による食餌性過敏症のアレルゲン探知を試みて以来,Goodale&Walker,Smith,Cooke等を経て,食餌性過敏症のみならず汎く各種のアレルギー性疾患の診断に皮内反応,貼布試験,掻破試験が広く行われるようになつた.アレルゲン探索にはこれら皮膚反応以外に眼険結膜試験,鼻粘膜試験,吸入試験等も亦試みられる他,特に食餌性アレルギーに対しては食餌試験,薬剤アレルギーに対しては投与試験がおる.斯るアレルゲン探索手段は又一部これを特異脱感作療法に転用されるに至つたが,この種特異脱感作療には時々危険がおり,又治療効果の期待に背くもの,効果の持続的でないものもあつて,現在ではあまり行われない.食餌性アレルギーではアレルゲンの摂取を避けることも出来るので脱感作療法は殊更重要でないとも云えるが,それは兎も角として,茲に日常臨床の問題としての特に食餌アレルギー性皮膚障害を取上げてみる時,脱感作療法をも含めてその治療方針の決定に資すべくアレルゲンの探索決定に皮膚反応の担う役割は小さくない.今日皮膚反応として行われているものに皮内反応,乱切又は掻破試験,Prausnitz-Kustner試験及びKonig-stein-Urbachの他働性転嫁試験,貼付反応,皮膚反応,乱切貼布反応がある.皮膚反応は1873年Blackleyが枯草熱症状の原因物質探索を行つて以後Schloss,Cooke,Goodale,Walker等を経てUrbachに至つてそのアレルギー性疾患に於ける実用価値は略々定まつた観がある.その後今日まで皮内反応の諸現象,特にその所謂即時反応及び遅発反応の夫々の臨床的な,病理学的な意義は次第に明かとなり,臨床上も重要なものを持つアレルギー学の問題として取扱われているが,食餌性アレルギーにあつては即時反応には食蛋白質が,遅発反応にはその分解産物であるPepton,Polypeptidの類が抗原的意義を持つことが多いと考えられている.一般に食餌物質抽出液を抗原とした皮膚反応,この場合乱切法ではそれが陽性反応を示す抗原の中,食餌として摂取してアレルギー症状を生ずるものは20%にすぎないといわれている,然るに逆に皮膚反応陰性の抗原でも食餌として摂取するとアレルギー症状を生ずるものがおり,食餌性アレルギーに関する限り皮膚反応の特異性には限界があるとせねばならない.食餌性アレルギーはアレルゲンの摂取を避ければ起らないが,牛乳,鶏卵,小麦粉の如きは食餌から除くことの全く不可能でないまでも,極めて困難なものであり,この種食品ではそこに脱感作療法の必要性を生ずる.脱感作療法として普通行われるのは少量の抗原を短期間をおいて逓増的に繰返し注射することで,本療法はOtto(1906年),Rosenau&Anderson(1906年)等が感作動物にショックを惹起するに十分な量の抗原を注射すると,次回注射に対して反応を起さないことを観察したことから始つた.Besredka & Steinhart(1911年)はこの現象を抗アナフィラキシーと呼び,次いでこれを人間に試み,即ち抗原の少量頻回注射により脱感作に成功.Friedberger&Mitaも亦稀釈抗原を以てする脱感作に成功,Wellsは卵白アルブミンを経口投与して卵白過敏性を除き得た.然してWellsはその機序を細胞の有する抗体が抗原によつて飽和されるにあるとした.Urbachは特異的脱感作法では抗原を直接Shockorganと接触させることが必要であつて,例えば皮膚並粘膜に
  • 川田 陽弘
    1959 年 69 巻 8 号 p. 967-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    1862年F.von Hebraは今日Hebra紅色粃糠疹と呼ばれるものを“終始皮膚の潮紅と落屑のみを呈し,他に丘疹,小水疱等の皮疹を見ず,慢性に経過し,予後不良の疾患”と定義することによつて従来この種疾患の占めていた,甚だ漠然とした領域内に一つの形態学的疾患単位を設定,1876年FereolはDesquamation scarlatiniforme recidivanteなる,これは急性に経過する紅皮症の1型を報告した.これ等を先駆として1882年次いで1909年Brocqが,自験例及び従来の文献報告例に基いて,凡そ瀰漫性潮紅と落屑とを主徴とする疾患群を剥脱性紅皮症Erythrodermia exfoliativaなる病名に総括したのが,今日の紅皮症乃至剥脱性皮膚炎が1概念として取扱われるようになつた恐らく最初である.Brocqは紅皮症を湿疹,脂漏性湿疹,乾癬,紅色苔癬,毛孔性紅色粃糠疹,天疱瘡等の汎発化から生ずる続発性紅皮症と,文字通り原発性の紅皮症とに分け,後者を更に1.Erythema scarlatiniforme desquamatif recidivante ou dermatite exfoliative aigue benigne(Fereol,Besnier)2.Dermatite exfoliative generalisee subaigue(Wilson)3.Dermatite exfoliative generalise chronique 4.Pityriasis rubra chronique de Hebra 5.Pityriasis rubra subaigue benin 6.Pityriasis rubra chronique benin 7.Dermatite exfoliative des enfants a la mamelleに細別した.がJadassohnは紅色粃糠疹には結核に由来するものあり,又予後必ずしも不良ならずとし,更に又Brocq分類の3.慢性汎発性剥脱性皮膚炎は汎発性湿疹と考へられるとした.またBrocq分類の7.乳幼児剥脱性皮膚炎は今日のRitterの新産児剥脱性皮膚炎であり,このものは今日化膿球菌性と決定している.Brocq分類は上記の通りであるが,一方紅皮症の原発性,続発性を,又上のBrocqの分類のような個々の症型を左程に差別せず,一括してexfoliative dermatitisと称することも,殊に米英では行はれている.本邦では土肥(慶)は剥脱性紅皮症の,初老以後の男子を侵し,慢性経過中表在淋巴腺の腫脹,皮膚に汎発性に色素沈着する症例をHebra紅色粃糠疹とし,恐らく老人性内分泌変常に基ずく自家中毒症と看做した.西川特にその組織学的研究あり,江間はWilson-Brocq亜急性剥脱性皮膚炎を観察,その後大橋,岩間,栗原,大串,小嶋等この紅皮症或は剥説性皮膚炎を種々の観点から研究している.紅皮症はその原発性,続発性を問わず,その発症病理は今日尚不明に止まる.従来種々なる薬剤,特に水銀,砒素,金等重金属剤が恐らくその中毒現象として紅皮症を来すことが知られていたが,近年各種の抗生物質療法,化学療法の普及するに伴れて幾多の新抗生物質,新化学療法剤に因る紅皮症の報告が輩出するようになつた.又近年に至り,各種の間葉性悪性腫瘍症の臨床表現として紅皮症の来ることが注目されるようになり,例えばMontgomery(1933)はLymphoblastoma或は広く細網症と呼ばれる疾患が紅皮症々状を呈することが少くないとし,Baccaredda""はReticulohistiocytosis cutanea hyperplastica benigna cum melanodermia(1939)に来る紅皮症を報告,その他Sezary,Neuhold及びWolfram,Musger,Tritsch,Loblich及びWagner等夫々紅皮症を新に広義に於ける細網症或は細網系反応との関胼に於て眺める立場にあり,紅皮症研究に新生面の開かれたことを示している.なお慢性汎
  • 垣内 洋二
    1959 年 69 巻 8 号 p. 990-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    本篇は皮膚癌に関する実験的研究として,マウスのメチルコラントレン皮膚癌の発生,並びにこれに及ぼす性ホルモンの影響を検討したものである.
  • 河村 俊光
    1959 年 69 巻 8 号 p. 1014-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    皮膚膠原病,或は膠原病に所属する皮膚疾患としてはエリテマトーデス,皮膚■炎,汎発性鞏皮症及び結節性動脈周囲炎等が代表的なものであるが,斯等諸疾患の膠原病としての性格,又その個々の特異性,独立性はなお明かでない点が少くない.それで茲では比較的遭遇することの多いエリテマトーデスを主とし,これに皮膚筋炎,汎発性鞏皮症を加えて,夫々の皮膚病変を特に組織化学の立場から検索して斯等疾患の特異性,乃至膠原病としての性格の解明に資するところあらんとした.即ち,先づエリテマトーデスの各型,皮膚筋炎及び汎発性鞏皮症皮膚病変の一般的染色標本に就て組織所見を再検討し,更に若干の組織化学的染色をも行って,各疾患相互間の差異,共通点を明かにせんとし,特に又結合組織及び血管の変化,真皮に於けるPAS 反応陽性物質及び酸性多糖類の量的変化,更にエリテマトーデス及び皮膚筋炎で屡々見られる表皮一真皮間基底膜の変化,真皮上層に認められる硝子滴状物質等を中心に検索した.
  • 香川 三郎
    1959 年 69 巻 8 号 p. 1048-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    皮膚真菌症の診断及び治療,本症に於けるアレルギー現象の観察等に,各種病原性真菌から抽出した抗原性物質が使用されている.著者はこゝ数年皮膚真菌症例にこの種抗原を以てする皮内反応を実施して来たので,その結果を報告すると共に,ペニシリン・アレルギーの発生に就いて真菌感染の持つ意義か問題視されているところに鑑み,皮膚真菌症とペニシリン・アレルギーとの関係,広くは各種真菌症乃至実験的真菌症に於いて他種真菌の抗原性物質が如何なる皮内反応を生ずるか,即ち真菌間にどの程度交叉反応が成立するかを検索したところを述べようと思う.
  • 平子 真
    1959 年 69 巻 8 号 p. 1076-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    著者は神経癩の急性増悪時及び癩腫癩から生じた2次的結核様癩に類肉腫症の1症状としてのUveoparotid feverに一致する症状の発生を認め,この場合耳下腺組織に類肉腫組織に於けると同様の類上皮細胞の増殖を,且つこれとともに癩菌を証明した.次いで癩腫癩に於ける結核様反応を観察したが,その発生機転には2様のものがあり,1は菌の増殖に対する反応として,他は化学療法の結果,菌の急激な死滅を来し,これに対する異物反応としてこの反応を生ずると考える.更に上記癩腫癩に於ける結核様反応及び結核様癩の一般所見の観察に立つて,結核様癩を癩腫癩に対立する極型とせず非癩腫癩に於ける1反応期相とするのを妥当とした.結核様癩は組織学的に類上皮細胞の増殖を呈し,類肉腫症に類似するものがあるが,類肉腫症の特異皮膚反応であるKveim反応が結核様癩の増悪期に高率に陽性を,癩腫癩の全例に陰性を呈することを認めた.以上の諸所見から結核様癩をも含めて癩に於ける結核様反応には類肉腫症に類似するものがあると考える.
  • 関 建次郎
    1959 年 69 巻 8 号 p. 1093-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    悪性腫瘍,特に上皮性の夫れとして癌に於ける組織化学的知見は近年組織化学の進歩に依つて著しく増加した観がある.即ち癌細胞に於けるリボ核酸(RNA)及びデスオキシリボ核酸(DNA),又古くから著目されているグリコーゲン其他,癌間質に於ける多糖類の知見のそれである.こゝに特に最近問題とされている腫瘍細胞に於ける核酸RNA,DNA,間質に於ける多糖類に関する従来の知見のうち重要なものを瞥見すると,腫瘍細胞に於ける核酸を組織化学的,且つ定量的に追究したのはCaspersson等に始る.即ち紫外線の吸光度を顕微化学的に測定する方法により,細胞内核酸の定量を行い,各種悪性腫瘍に就ての観察を綜合して,悪性腫瘍細胞の正常組織細胞に対する本質的変化は細胞内の核酸,蛋白質合成系の過度の機能充進状態(調節障碍)にあると結論,皮膚癌の知見をもその中に記載,再生しつゝある正常表皮細胞に比して核内及び細胞質内の何れにも著しく高度の核酸の含有を認めている.次いでLeuchtenberger,G.Klein及びE.Klein等も同様の方法にRi-bonucleaseによる消化法を併用して,Ehrlich腹水腫瘍,DBA腹水淋巴腫細胞に於ては,核当り平均のRNA量は全核酸量の20~25%と著しい増量を示すことを挙げた(正常組織細胞に於ては3~7%).岡本3)はPyro-nin-Methylgreen染色(RNAはPyronin好性,DNAはMethylgreen好性)により, Butter yellow投与時ラッテの肝細胞の所見を発癌迄の各期に於て観察,投与日数に応じて核内RNA,即ち核小体には異型(増大型,空胞型)が多数となることを,又之等と細胞質RNAとの関係等を観察,報告した.同様染色法を用いてLong及びTaylorは人体卵巣及び子宮腫瘍に就て観察し,悪性度の増加と共に,核小体(この場合核内RNA)の多数化,大きさ,形の不規則化,1個の核小体の増大,空胞化等が見られることを述べている.次にLeuchtenberger,G.Klein 及びE.KleinはCasperssonと同様の方法により,Ehrlichの腹水腫瘍,DBA腹水淋巴腫等に就て各個腫瘍細胞核のDNAを測定したか,前者は正常牛肝細胞核の2倍のDNAを含み,後者では正常牛肝細胞核と同じく,比は化学的に定量を行い,各個腫瘍細胞核に就て出した平均値と良く一致し,叉前者の核がTetraploid,後者かDiploidである事実と符合する旨述べている.Baderは5種の腫瘍(Methylcholanthreneに依るラッテ前立腺扁平上皮癌,マウスのCloudman S-91黒色腫,良性特発性乳嘴腫,移植乳癌,特発性乳腺腺癌)に就て夫々の正常組織と比較しつゝFeulgen反応を施した切片にmicrospectrophotometryを行い,腫瘍細胞核のDNA量は良性の乳嘴腫以外は正常に比して増加していること,又各DNA 値は最低のDNA 値,その2倍,その4倍を示していること,但し中間値も時に見られることを述べ,これ等は夫々核のDiploid,Tetraploid,Octaploidに相当し,中間値は分裂前の核内DNAの合成に基くとした.C. Leuchtenberger,R. Leuchtenberger 及びDavisは人体の47の正常組織,29の前癌性或は悪性腫瘍組織に就て,Feulgen反応及びCasperssonと同じく紫外線によるmicrospectrophotometryを行い,悪性腫瘍に於ては各細胞聞にDNA量の差の著しいことを述べたか,これは分裂前に核内でDNAの合成が起る為であり,悪性腫瘍に特有な所見とは考え難いとしている,以上と関連して腫瘍組胞の核学的研究から,牧野等は種族細胞説を立てたか,それに拠れば悪性腫瘍細胞の中でも,比較的正常に分裂する所謂分裂型細胞のみか腫瘍の増殖に重要な意義を持ち,その染色体構成は正常体細胞の夫れとは明に異り,夫々に一定した染色体の形態及び数を備えていることを述べた(吉田肉腫では
  • 古谷 達孝
    1959 年 69 巻 8 号 p. 1115-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    皮膚毛細血管,特に真皮上層に於ける夫れは各種炎症性皮膚病変の起点となり,又広く各種のNoxeに対する反応の場となる点から,各種皮膚疾患に就てその呈する機能的現象を観察,検索することは極めて重要である.かゝる意味で余は各種皮膚疾患に就いて,特に疾患の経過に於て健常皮膚部位,並びに病変局所の皮膚毛細管抵抗を測定し,その変動を観察した次第である.
  • 1959 年 69 巻 8 号 p. 205e-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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