日本皮膚科学会雑誌
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皮膚代謝に関する研究(第4報) 皮膚のニコチン酸及びパントテン酸に就いて
川住 昭夫
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1960 年 70 巻 1 号 p. 64-

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抄録
皮疹並びに皮膚病変全体としての性状の形態的現象を能う限り精密に観察記載し,病変部皮膚を病理組織学的に検査し,その異同によつて疾患の異同を論じ,原因を探求して治療をはかるのが従来の皮膚科の主なる仕事であつた.即ち形態学的病理学的に基礎を置いた記載皮膚科学であつた.近年に至り生理学的,生化学的方法を導入せる新しい病理学の分野の発達と共に,皮膚疾患の病態生理学(生化学)的検索が行われる様になつた.こゝで云う病態生化学的検索とは,皮膚疾患々者の血液生化学的検索でなく,主として病変局所皮膚即ち「場」Lesionの生化学的変動の追求を指すことにした.斯る意味での皮膚疾患の病態生化学的研究即ち皮膚代謝の研究はかなり以前から一部の学者に依り注目されていた.又近年に至りRothman一派の広範な研究があるが,未だ解明されない所が極めて多い現況にある.著者は当教室に於ける皮膚代謝に関する研究の一環として,皮膚のビタミンB群,特にニコチン酸及びパントテン酸を家兎,ラッテの生理的或いは外来刺戟並びに内臓諸器官障碍等の病的条件下に於いて,又更に人体の正常値を測定しこれ等の皮膚代謝に就いて基礎的研究を行つたのでこゝに報告する.
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© 1960 日本皮膚科学会
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