日本皮膚科学会雑誌
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病原性黒色糸状菌の形態学的並びに血清学的研究
稲城 矩実
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1962 年 72 巻 3 号 p. 197-

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抄録

黒色糸状菌の寄生によつておこる皮膚疾患は以前には稀有な疾患とみなされていた.1911年にAlexandrino Pedrosoが疣状皮膚病患者から黒色の糸状菌を分離培養し,1915年にはE.M. MediarおよびC.G. Laneが1例の黒色糸状菌性皮膚疣状疾患を報告し,これから分離した菌をphialophora verrucosaと命名した.1922年にBrumptは同様の患者から分離した黒色糸状菌に対してhormodendrum pedrosoiと命名した.この後,世界各地において,同様の皮膚疾患から多数の黒色糸状菌が分離されたが,その菌株によつて顕微鏡的形態を異にするものがあり,別名の属あるいは種に入れられていた.そしてこれら菌株間の異同について長年論議されたが,しかしこの相違はこれら菌群が異型の分生子形成法を示し,菌株によつてそのうちのある型を主とするので,それを特徴とする属あるいは種に編入された結果である.

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© 1962 日本皮膚科学会
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