抄録
皮膚の微細構造を,皮膚顕微鏡を用いて,生体のまゝで観察しようとする試みはLombard(1912)に始まり,Muller,Gilje,Davis,その他多数の研究者によつて受けつがれ,皮膚科学領域ばかりでなく,広く生理学や内科学の領域においても行われてきた.このような研究の進歩は,実験方法の改良に負う所が大である.従来は,普通の光学顕微鏡を改造した装置を用いて生体観察を行い,所見を模写する程度であつたが,最近では,光学機械の発達とDavisらによつて考案された装置の利用により,観察所見の写真撮影が容易にできるようになり,更に映畫撮影の技術もとり入れられてきた.このように技術的に大いに進歩したこの方面の研究は,現在,2つの方向に進みつつある.ひとつは皮膚病変そのものを直接に観察する方向で,病変部の動的変化を把握することを目的とする.他は爪廓の毛細血管像を観察する方向で,爪廓における毛細血管の変化を手掛りとして,全身の血管の状態を把握しようとするものである.