日本皮膚科学会雑誌
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表皮角化に関する知見
岩下 健三
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1966 年 76 巻 9 号 p. 477-

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抄録

角化は,純形態学的には表皮細胞の変性壊死とも解釈されようが,ケラチン生成という表皮にとつてはいわば唯一の重要な分化現象である.基底層に始り角層に至るまで,表皮細胞はたえず増殖し移動するとともに,ケラチン形成のために複雑な歩みを日夜孜々として続けている.かくして死滅した角細胞は皮膚表面から剥離するが,表皮全体をHolocrine glandにたとえているのも以上のような理由からである.従つて角化を語るには細胞の分化と増殖との両面から検討されねばならないが,その目的のためにここでは組織学,組織化学,Microautoradiography,電子顕微鏡,生化学等を駆使した.もとより残された幾多の問題があるが,ここ数年来,専ら人につきSoft keratinizationを対象として教室で行なつた正常角化,病的角化,Keratinization in vitroについての成績を報告し,次いで全国各機関からよせられたいわゆる角化症に言及したいと思う.因みに,各種病的角化の検討に際しては,疾患の種類というより,むしろ現象面を捉えて分析することに努めた.

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© 1966 日本皮膚科学会
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