日本皮膚科学会雑誌
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カンジダワクチンによるカンジダ性爪炎,爪囲炎の治療
原田 誠一植田 時司
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1969 年 79 巻 4 号 p. 274-

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抄録

皮膚カンジダ症は主としてCandida albicansによつて起るもので,多くは表在性,かつ間擦疹,爪囲炎,爪炎を主徴とするものである.Candida albicansはこのほか粘膜,内臓諸器官を侵し,時に重篤な症状を呈する.また最近の如く,抗生物質,副腎皮質ホルモンの使用の増加につれて,カンジダ症が菌交代現象として頻発するようになり所謂iatrogenic disorderとして占める位置も大きい.本菌によつて惹起される疾患の治療は現在まで種々なものが用いられているが,その効果は皮膚カンジダ症の一部に限られ,未だ決定的な薬剤の出現はみられない.我々は皮膚カンジダ症の一型であるカンジダ性爪炎,爪囲炎(以下爪甲カンジダ症と略す)が,日常屡々みられる病類であるにかかわらず,治療に甚だ抵抗を示すことより,本症に対しCandida albicansから抽出した水溶性物質をワクチンとして治療を行ない,将来カンジダ症全般に対して行なわれるべき治験の前段階として,その成績を述べてみたいと思う.

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© 1969 日本皮膚科学会
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