日本皮膚科学会雑誌
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病原性Nocardia菌の免疫血清学的研究
鍛冶 友昭
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1969 年 79 巻 7 号 p. 507-

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抄録

ノカルジア症(nocardiosis)および菌腫(mycetoma)の原因菌として知られている好気性放線菌類(Actinomycetes)には現在次のものがある.すなわち,Nocardia asteroides,N. brasiliensis, N. caviae,Streptomyces madurae,S. pelletieri,S. paraguayensis,S. somaliensis等.ここで一応の分類基準を示すと表1のようである.一応のと断つたのは,基準の若干にやや不安定な要素も含まれているからである.これらの菌の分類・同定は従来から,組織内顆粒の性状・培養の肉眼的形態・顕微鏡的形態・染色性・生理学的活性・動物病理性等に基づいて行なわれている.表をみても判るように,若干の菌の形態や染色性は相互に類似し,相互鑑別には役立ち得ないものがある.また,染色性の一つである抗酸性には培養条件・その他による多少の変動があり,成績は必ずしも一定しない.菌の生理学的活性,すなわち種々の酵素活性も条件によつて変動することがあり,必ずしもあてにならないといわれてきたが,最近,若干の酵素活性は比較的安定した成績を示すとし,分類基準としてこれを重視するものがある.

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© 1969 日本皮膚科学会
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