日本皮膚科学会雑誌
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非定型抗酸菌 Mycobacterium marinumとSporotrichum schenckiiを分離し得た肉芽腫の1例
安江 厚子船橋 冨次雄
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1973 年 83 巻 2 号 p. 101-

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抄録

症例は,36才の男子,職業は寿司屋で,営業用に海水魚を飼育していた.初診より約4ヵ月程前に外傷を受けた左手背部に,軽度の瘙ある丘疹が生じ,初診時には,扁平隆起性の表面に軽度の黄色痂皮を附着させる境界明瞭な淡紅色局面となっていた.組織学的検査にて,真皮に各種の細胞からなる非特異性肉芽形成が認められたが,連続切片の抗酸菌染色,PAS染色による検索においては,いずれも菌要素が認められなかった.病巣部より採取した組織片の25℃,小川培地培養,およびサブローブドウ糖寒天培地培養により,それぞれ,Mycobacterium marinum,Sporotrichum schenckiiが分離同定された.また凝集反応および蛍光抗体法による検索にて,Sporotrichum schenckiiに対する患者血清中の抗体価の上昇が認められた.治療としては,ヨードカリとKM,RFPの併用の併用療法が行なわれ,約4ヵ月で治癒をみた.

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© 1973 日本皮膚科学会
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